はじめに
今回はフレーバーテキストの書き方について書きたいと思います。
フレーバーテキストとは
ゲームで使用されるシナリオ以外のテキストです。
カードの詳細画面や、強化したときの一言などの台詞です。
キャラの性格に合わせた台詞だったり、
キャラを説明する説明文だったりします。
中にはキャラだけではなく、アイテムの説明文もフレーバーと呼ぶ現場もあります。
下準備が大事
ゲーム会社の中ではキャラの設定だけを渡して
「じゃあ、お願い」と雑に依頼してくることもあります。
ですが、そこで何も考えずに受けてしまうと、
何度もリテイクをする羽目になります。
事前に知っておくべきこと一覧
1.項目と項目数
2.フォーマット
3.文字数
4.文頭文末禁則
5.ボイスが入るか
6.文字として画面に出るか
7.キャラ同士を絡ませるか
8.既存キャラか初登場キャラか
9.独自ルール
1.項目と項目数
まずは、どの項目のフレーバーテキストなのかを知る必要があります。
また、どれだけの項目数が必要なのかも把握しないといけません。
というより、ここを知らないと作業のしようがありません。
上で書いたように、カードの説明文と強化時のキャラの台詞では
書くことは全く違います。
同じキャラの台詞でも、朝にマイページにいくと流れる台詞と
昼にマイページにいくと流れる台詞では全く内容が違います。
※同じでも問題ない場合がありますが、朝と昼で分かれているなら別にしなくてはいけません。
詳しいことは後述します。
例えば、朝にマイページに行くと流れる台詞を3通り用意するということもあります。
ちゃんと事前に、どの項目をどれだけの量が必要かは確認しておきましょう。
2.フォーマット
これは1の項目と項目数に関連しますが、
必ずどの現場にもフォーマットというのが存在します。
要は項目と項目数の一覧で、その項目を埋めればいいという表です。
大抵はエクセルが多いですが、中にはテキストファイルという現場もあります。
フォーマット例
こういう形のものがフォーマットになります。
このフォーマットを全て埋めるという依頼方法が
一番、依頼する方も依頼される方も齟齬が少なく楽です。
ですから、このフォーマットがあれば必ず貰うようにしましょう
独自で勝手に作っても、結局は「このフォーマットにして」と言われることが多いです。
というのも、「システムの人」に渡したり、「マスタ」で管理するには
このフォーマットが重要になるからです。
※フォーマット形式にしないとデータを読み込んでくれないなどの理由があります。
もし、既に完成しているフレーバーテキストがあるなら、
完成品を貰うのが一番わかりやすくていいでしょう。
「できているフレーバーはないですか?」は最初にしてもいい質問です。
反対に完成品を渡されて、
この下に追加していってという雑な依頼のされ方をする場合もあります。
そのときは、「事前に知っておくべきこと一覧」は質問しておいた方がいいので、
参考にしてください。
逆にいうと新規でゲームを作成していて、
まだフォーマットがないという現場もあります。
そういう時は闇雲に書くのではなく、
必ず最初にフォーマットを作ることから始めてください。
フォーマットの作り方については機会があれば書きたいと思います。
注意点として、あなたがフリーのライターで依頼されたときです。
「まだフォーマットがないが、適当に書いてください」という依頼が来る場合があります。
そんなことはほぼないのですが、私は当たったことがあります。
そういう発注者の場合、その依頼を受けるのであれば
必ずリテイクの量が膨大になることを覚悟して受注しましょう。
項目すら決まっていないのに、ライターに依頼するプランナーはかなり危険信号です。
完全に、未経験の素人でかつ周りに経験者がいないということになります。
断言してもいいですが、項目もどんどん増えますし、形式も変わっていきます。
そんな依頼をしてくるゲーム会社であれば断ったほうが無難です。
最悪、ゲームがリリースされずプロジェクトが潰れ、
報酬が支払われないという可能性もあります。
3.文字数
文字数もかなり重要な要素になります。
小説やシナリオであれば、台詞の文字数に制限はありません。
※ゲームシナリオは制限はあります。
ですが、「ゲーム」で使われるフレーバーテキストは
必ずといっていいほど、文字数制限があります。
※大抵、フォーマットに記載されていることが多いです。
後述しますが、ゲームにはテキスト表示領域というものがあり、
一度に出せるテキストの文字数が決まっています。
また、1行に何文字が表示され、何行まで表示されるかを
知らないといけません。
さらに、仮にテキストが表示されない場合でも、
長々と台詞を話すというのも、ユーザーに待たせる時間を作ってしまいます。
せいぜい、2~3秒で話せる程度の文字数になる場合が多いです。
文字数を聞かずに作成すると、「この文字数で書いて」とリテイクになります。
リテイクを出されてから舌打ちするのではなく、書く前に聞いておきましょう。
4.文頭文末禁則
まずは「文頭文末禁則」について説明します。
IT用語辞典バイナリより引用
■
行頭禁則とは、DTPや活字組版において、行頭に「]」や「》」といった終わり括弧などを配置しないという規則のことである。
行頭禁則では、終わり括弧が行頭に来た場合、前の行の最後に括弧を移動する。
行頭禁則は、主に約物が対象となっている。
行頭禁則の文字としては、以下のような終わり括弧や句読点、ハイフン、中黒、コロンやセミコロンなどが挙げられる。
)]}〕〉》」』】’”、。-~・:;
また、約物以外の行頭禁則の文字には、「ー」のような長音や促音(っ、ッ)、踊り字(々)などが挙げられる。
ちなみに、行頭禁則に対して、行末に始め括弧などを配置しない規則を行末禁則という。
■
つまり、文の始めに。や、や記号などをこないようにすることです。
これはシステムにもよりますが、気にしないといけない現場の方が多いような気がします。
システムの中では1文字領域を作っておいて、
禁則を自動的に処理してくれるプログラムを組んでいるものもあります。
そういう場合はここに関しては気にしなくてもいいです。
ただし、プランナー自身がこのことに気づいていない場合も多いので、
作業をする前に、気にする必要があるかを聞いておくといいでしょう。
5.ボイスが入るか
ボイスに関してはそこまで重要ではありませんが、
質を気にするのであれば、聞いておきましょう。
というのも、字面では良い台詞でも実際、声にすると微妙なことがあります。
次の6の項目にも関連するのですが、
テキストが出ずに、ボイスだけの場合、
何を言っているのかがわからないという場合が出てきます。
あまりいい例ではありませんが
「はしまで行けば、涼しいよ」という台詞があります。
これは「橋まで」なのか「端まで」なのかが、文字が出ないとわからないですね。
ボイスで聞いて、内容がちゃんとわかるかを考えると
グッと質が高くなっていきます。
是非、意識してみてください。
また、ボイスが入る場合、そのテキストを元にして
「台本」が作られます。
読み方などを書いてあげると親切です。
※プランナーからしたら、かなり助かるので、重宝されます。
例えば
祓魔師と書いて「エクソシスト」と読ませるつもりでも、
何も書いてないと、そのまま「ふつまし」と読まれる場合があります。
同じ台詞なのに、一気に雰囲気が変わってしまいますね。
そういう場合は「祓魔師(エクソシスト)」のような感じで書いてください。
※文字数が合わなくなる場合は、
備考欄などに「祓魔師はエクソシストと読んでください」と書いておくといいでしょう。
6.文字として画面に出るか
5の項目でも少し書きましたが、
画面に文字が出るか出ないかで結構違います。
まず、画面に文字が出ない場合は文字数や文頭文末禁則を気にする必要がなくなります。
※厳密に言うと文字数は、あまり長くならないようにしましょう。
その反面、文字が出ないと伝わりにくいというデメリットもあります。
書き終ったら、一度音読してみるといいでしょう。
逆に画面に文字が出る場合は、色々な制約が出てきます。
文字数や文頭文末禁則はもちろんですが、
画面を見たときに、見栄えを考えて
「。」で改行を入れるかも、重要な要素になります。
つまり、表示枠にびっしりと文字が詰まっていてもOKなのか、
それとも読みやすさを重視して改行を入れるのかで、
必然的に文字数が変わってきます。
例 アニメ ソードアート・オンラインより
「俺の命は君のものだ、アスナ。だから君のために使う。最後の瞬間まで一緒にいる」
この台詞をテキスト領域に表示させる際、以下のパターンが考えられます。
例1 純粋に表示枠のみを考えている場合
「俺の命は君のものだ、アスナ。だから君の
ために使う。最後の瞬間まで一緒にいる」
例2 読みやすさを考えてた場合
「俺の命は君のものだ、アスナ。
だから君のために使う。
最後の瞬間まで一緒にいる」
確かに例2の方が読みやすくていいと思います。
ですが、改行を入れることにより、
書ける文字数が少なくなります。
それを考えて書く必要があるので難易度は上がります。
7.キャラ同士を絡ませるか
これは9の独自ルールにも関連しますが、
キャラ同士を絡ませた方がいいのか、
それとも、そのキャラに対してだけ書くのかでも
書き方は大分違ってきます。
それはその現場というかゲームのルールがあるので、
それに従って書いてください。
ここを確認しないで書いてしまうと
「もう少し他のキャラと絡ませて」とか「他のキャラのことは出さないで」と
全リテを喰らう可能性があります。
また、キャラを絡ませる場合は
絡ませる相手のキャラの把握も必要になるので、
作業は増えていきます。
フリーランスで受ける際はその分の時間も考慮して、
報酬を交渉しましょう。
8.既存キャラか初登場キャラか
ここもかなり大事な項目になります。
既存キャラであるなら、
既に他にフレーバーテキストがあるはずですから、
そのキャラの台詞に沿ったテキストを作る必要があります。
※ゲームの場合は違うVerのキャラが出てきます。
例えば、クリスマスVerや水着Verなどです。
必ず既存キャラの場合は、そのキャラの全てのフレーバーを貰いましょう。
怖いのは書いた台詞が性格と違ったり、前のキャラとの整合性が取れない場合です。
例えば、前のVerで「リンゴが好き」という台詞があったのに、
「リンゴ嫌いだから、みかんにして」という台詞を書くとアウトです。
※キャラ設定に無くても、前担当が設定を付け加えて台詞を書いてある場合があります。
また、キャラ設定書から設定が変わっている場合もあります。
リリースされているテキストが「最新」になるので、
絶対に全部のフレーバーは貰って、ちゃんと確認するようにしましょう。
逆に初登場の場合は、そのキャラを紹介する内容を多くします。
例えIPもののキャラクターだったとしても
知らないユーザーはいるので、初めて見たとしても通じる内容にしないといけません。
例えば、『ワンピースのナミはみかんを育てています』が知らない人は知りません。
みかんを育てているのを知っている前提で書くのは不親切になります。
キャラ説明文や台詞の中で、「みかんを育てている」という文言を入れましょう。
9.独自ルール
その現場、現場で必ず独自のルールと言うものがあります。
ちゃんとした依頼者であれば説明されますが、
雑な人は納品物を見て、「あ、これ言うの忘れてた」と思い出し、
リテイクで知らせてきます。
事前に、伝えておく情報はないかを相手に確認しておきましょう。
フリーランスの人へのちょっとした注意点
基本的に文章は書くのは簡単だと思われています。
※イラストなどは素人でも書くのは大変だとわかるんですが。。。
ですので、簡単にリテイクを出される傾向が多いです。
ですので、ちゃんと「事前の情報の確認」と「リテイク回数」のルールは
決めておいた方がいいです。
下手をすると数週間、ひたすらリテイクをする羽目になります。
その辺も踏まえて、報酬の交渉をしましょう。
※まあ、そうも言ってられない状況もあると思いますが。。。
…今回は下準備で終わってしまいました。。。
それだけ、下準備は大切になります。
少しでもリテイクを減らすために、事前確認は怠らないようにしましょう。
次回は実際に書き方についてを、書いていきます。
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それでは、今回はこのへんで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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