小説の書き方 人称について解説

シナリオライター編

今回は小説を書く際の視点である人称について解説していきたいと思います。

人称についてはあまり意識しなくても書けますが、適当に書いていると視点がブレてしまい読者としては読んでいると違和感が出てきます。

知っているという内容かもしれませんが、改めてこの記事を読んで勉強してみましょう。

人称は3種類

小説の人称は3種類あります。

・1人称

・3人称人物視点

・3人称神視点

この3つになります。

それでは1つずつ見ていきましょう。

1人称

主人公の視点で書くことになります。

基本的には主語が俺、僕、私、などになっていきます。

主人公が見たもの、感じたこと、考えていることを中心に描写をしていくことになります。

書き方としては「俺は喉が渇いていたので、水を一気に飲み干した」というような形になります。

一人称で注意しなくてはならないのは「主人公目線」ということを絶対に忘れてはいけません。

主人公が知っていること、感じていること、考えていること以外は書いてはいけません。

例え、読者が知っていた情報だったとしても、主人公が知らないことは書けないということです。

ライトノベルが出る前は、一つの作品の中で人称が変わることはなかったのですが、ライトノベルが人気になった際に、一つの作品の中で一人称と三人称を組み合わせる手法も生まれました。

ずっと一人称で書いていると、主人公が知るタイミングと読者が知るタイミングは全くの一緒だったのですが、三人称を組み合わせることで、このタイミングは必ずしも一緒にはならなくなります。

例えば、三人称のシーンでAとBが主人公のいないところで、なにやら相談していたとします。

その内容は読者は知っていますが、「主人公は知らない」です。

なのに、主人公が知っている形で進めてしまうと、「矛盾」してしまいます。

一人称と三人称を組み合わせて使う際には、主人公がどんな情報を知っているかというのは、常に意識しておきましょう。

あとは、「主人公の性格」も常に意識しておかなければなりません。

例えば、主人公は大雑把で何も考えないでズンズン進んで行くタイプだとします。

ワンピースのルフィみたいな感じですね。

その主人公がある廃墟に入り込んだとします。

その際、読者にどんな場所かを知らせるために、その場所の描写をします。

「その部屋はコンクリートの壁で、三つの大きなヒビが入っている。床には窓ガラスの破片が散乱して足の踏み場もない。そんなガラスの破片を避けるように、不気味な日本人形が転がっていた。その目が見開き、こちらをジッと見ている」

どうでしょうか?

この文章を単体で見ると違和感はないかと思いますが、これを「ルフィ」が考えているとするなら、一気に違和感が出ないでしょうか?

つまり、主人公は大雑把で何も考えないようなルフィのようなキャラクターなのに、描写についてはコナンばりに、細かく見ていると違和感が出てしまいます。

一人称で書くのは初心者には書きやすい人称ですが、ちゃんと主人公の性格を考慮して書いていかないと、ちぐはぐな作品になってしまうので注意が必要です。

あとは、例えをする際も気を配ってください。

例えば、剣道をやっていない主人公なのに、「竹刀のように軽い棒だ」と表現してはいけません。

高校生なのに、「まるで会社のオフィスのような」みたいな例えをするのも変ですね。

この辺は気を抜くと、「作者の視点」になってしまう場合があるので、書きやすいからと言って、一人称で何も考えないで書くと、痛い目にあいます。

3人称人物視点

これは一人称とかなり似た人称になります。

一人称は主人公の体の「中」から見た視点ですが、3人称人物視点では、キャラクターの体から出た状態の視点です。

イメージ的には一人称はゲームの「エイペックス」で、3人称人物視点は「龍が如く」という感じでしょうか。

3人称人物視点では「その人物が見えている」状態というのが一人称と違うところです。

書き方の違いとしては下記のような形になります。

■一人称

目の前にはオレンジジュースとアップルジュースが置いてある。

さて、どうしようか……。

今日はオレンジの気分だな。よし、オレンジにしよう。

 

■3人称人物視点

Aの目の前にはオレンジジュースとアップルジュースが置いてある。

さて、どうしようか……。

今日はオレンジの気分だな。

Aは少し迷った後、オレンジジュースを手に取った

 

どうでしょうか。

あまり変わりませんね。少しのニュアンスが違うだけです。

また、書き方的には一人称とほぼ変わらない書き方なのですが、この利点としては視点となるキャラクターを変えることができるといった点でしょうか。

群像劇などを書きたい場合は3人称人物視点が合うでしょう。

3人称神視点

これは完全にキャラクター達から離れて見ているイメージです。

映画やアニメ、漫画を見ているような感覚です。

この人称は「キャラクターに依存しない」ので、かなり自由に書けます。

キャラクターが知りえない情報でも書くことができます。

例えば、ファンタジー世界の小説を書くとします。

「ご飯を丸めた、まるでおにぎりのような料理が出てきた」

この世界に「おにぎり」がなかったとしても、この例えを使うことができます。

また、「神」のような視点なので、「なんでもわかっている」状態で書くことができます。

例えば、「Bは恐怖を感じて、後退った」と書くことができます。

これが、3人称人物視点で、視点がAだった場合は「Bは恐怖を感じたのか、後退りをする」という形で、断定はできません。

この3人称神視点は、かなり便利に描写を書けるのですが、キャラクター達とは引いた目線になるので、どこか「冷めたような」印象の描写になってしまうというのが弱点です。

ただ、3人称神視点は冷静な視点となるので、推理物などと相性が良いでしょう。

いかがだったでしょうか。

人称は感覚で使っている人が多いと思います。

多少人称のルールから外れていても、気にしない読者もいるでしょう。

ですが、ここがしっかりできているかで、作品のクォリティは変わってきます。

今後はしっかりと人称を意識して書いていきましょう。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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