伏線とは?シナリオにおける伏線の解説!もうご都合主義とは言わせません!

シナリオライター編

ストーリーを作っていて「ご都合主義」という感想を言われることがないでしょうか?
それは主に伏線が上手く張れていないことで生まれてしまいます。
今回は伏線についてを解説していきます。

転に向けて伏線を張る

主に伏線は起承転結でいう、転のために貼っていきます。
もちろん、それ以外の為にも張ることはあります。
ですが、大体は転という物語が大きく動くときのために張っておくとよいでしょう。

起承転結の転の部分は、物語がひっくり返るようなイメージです。
そこの部分がどのくらい大きくひっくり返せるかで物語の面白さも大きく変わっていきます。
また、上手い形で物語がひっくり返せると完成度も高くなります。

シナリオの面白さや完成度については下記の記事で取り上げてますので、よかった合わせて読んでみてください。
シナリオにおける面白さと完成度の違いについて

ただ、大きく物語をひっくり返そうと奇抜なアイディアを入れようとすると物語が唐突になってしまいます。
その唐突さが「ご都合主義」の原因となります。

主人公がピンチのときに助けに来る仲間。
感動的なシーンになりそうですが、注意も必要です。
「誰が」「どのタイミングで」「どんな形で」助けに来るかがポイントになります。

昔見た映画で、最後に突然劇中に「監督」が出てきて強大な敵をあっさりと倒してしまったというのがありました。
このアイディアは確かに奇抜でした。
奇抜でしたが、正直見ていて「は?」となりました。

それまで全く「監督」の存在は出ていません。
というより、物語に現実世界の人間を出してしまうと、世界観が壊れます。
視聴者は一気に冷めていくでしょう。

もしかすると監督は視聴者が引くことも計算に入れてやったのかもしれません。
あえて「酷い作品」を作ることで「有名」にはなります。
記憶に残らない凡作よりも、記憶に残す鬼作を狙ったのかもしれません。

ただ、このやり方はお勧めできません。
面白くもないですし、完成度も低くなります。

また、中には敵だったキャラクターが急に助けてくれるというのもあります。
これも意外性があり、視聴者を引き付けます。
ですが、仲間になる経緯が描かれていないと、視聴者は「なぜ?」と思ってしまいます。

これもご都合主義になってしまいます。
ですので、そういった場合は必ず「理由」を作っておきます。
そのキャラクターが敵側から裏切って、味方側につくという大きな理由です。
この理由が視聴者を納得させられるようなものを用意する必要があります。

この理由を出すタイミングですが、後から出しても構いません。
構いませんが、「伏線」を張っておくことでより効果的に見せることができます。

つまり、仲間になる理由を事前に何気なく見せておくのです。
そうすることで、視聴者は「ああ、あれはそういうことだったのか」と感心する上に「転」でのひっくり返しもスムーズに受け入れてもらえます。

なので、転を作る際に起や承の部分で、転につながる前もって情報を入れておくとよいでしょう。

気づかせるか気づかせないか

伏線には読者に気づかせるか、気づかせないかを考える必要があります。

伏線を出す際に視聴者に「ん?」と引っかからせておく手法です。
視聴者の頭に残るので、伏線を回収する際にわかりやすくなります。

気づかせる場合の伏線の張り方は簡単です。
とにかく、唐突なシーンにすればいいです。
今までスムーズに流れていたストーリーから、いきなり外したシーンを作るのです。
そうすれば、その違和感で視聴者は記憶に残ります。

ただ、この場合、あまり長いシーンにしてはいけません。
唐突で違和感があるシーンが長いと、視聴者が「冷めて」しまう危険があります。
漫画でも1コマや2コマくらいで伏線を張ることが多いです。
映画などでも、数秒のシーンにした方がいいでしょう。

このあえて気づかせる伏線にはメリットデメリットがあります。

メリットとしては回収した際に「わかりやすい」というのがあります。
伏線回収時に視聴者が「ああ、あのシーンはここに繋がっているのか」と納得しやすいです。

デメリットとしては「チープになりすぎる」というのがあります。
あからさまな伏線は、返って視聴者を冷めさせる原因にもなりかねます。
わかりやすすぎるとある意味「予定調和」となってしまい、伏線にならない場合もあります。

気づかせない伏線の張り方は難しいです。
これはシーンの中に自然と溶け込ませるようにして入れていきます。
視聴者側からは、そのときは伏線だと気づかない形にしておきます。

気づかせない伏線のメリットとデメリットももちろんあります。
メリットはうまく決まれば視聴者は「面白い」と思ってくれますし、完成度も高くなります。
伏線の張り方がうまいと、いわゆる「名作」と言われることになるでしょう。

デメリットとしては視聴者が「気づかないまま終わる」ことがあります。
伏線のシーンを視聴者が覚えてなければ、結局は唐突になってしまい「ご都合主義」と言われてしまいます。
作者自身は伏線を張ったつもりでも「ご都合主義」と言われる場合は、伏線が気づかれてないという恐れがあります。

その場合は2つの修正パターンがあります。
1つは伏線のシーンをもう少しわかりやすくすることです。
もう1つは伏線を回収した際に、解説のシーンを入れることです。
つまり、「あそこが伏線だったんですよ」ということを回想などで見せるパターンです。
そうすれば、気づいていなかった視聴者も「ああ、そういうことだったのか」と納得できます。

ですが、この手法も注意が必要です。
説明するということは一旦、物語の流れを止めることになります。
ですので、その解説のシーンも端的に短くする必要があります。

気づかれない伏線の張り方として、秀逸な映画があります。
「シックスセンス」と「ファイトクラブ」です。

この2作品は伏線の張り方の勉強になりますので、まだ見てないのであれば是非、見てみてください。

シックスセンスでは、主人公はあるシーンからカウンセリング相手の少年以外とは「話して」いません。
しかもこの伏線は作中で説明してもいません。
視聴者の中には気づかない方もいるでしょう。
ですが、この伏線は気づかなくても「転」が成り立つ構成になっています。
とても素晴らしいです。
ですが、やはりこういう伏線の張り方は難しいです。

種だけ撒いておく

伏線は主に、回収方法とセットになっているべきです。
つまり、どのような設定かが決まっている状態で伏線を張る形になります。

ですが、中には伏線の種だけを撒いておき、あとからいい回収方法が見つかったら回収するというのがあります。
この手法は主に連載など、長く続く作品で使われます。
逆に映画や1話完結型では、使ってはいけません。
回収できない伏線は張るべきではありません。

連載になると、どのように話を展開させるかが大きく変わっていきます。
その際に撒いていた種が役に立つ場合が多いです。

そこでとりあえず、後で育つかもしれないので種を撒いておくのもよいでしょう。

ですが、この手法も注意が必要です。
まずは広げ過ぎて回収ができないというのがあります。

なんでもかんでも種を撒きすぎると回収に困ることがあります。
回収するまでは、種を撒いたシーンは「意味不明な」シーンになります。

それが多いと「意味不明なシーンが多い作品」と言われてしまうでしょう。

そして、急に打ち切りとなる漫画では、この伏線を回収しきれずに終わることも多いです。
結局、あの設定はなんだったの? となることになります。

種を撒く量はほどほどにしておいた方がいいでしょう。

次に本人も忘れてしまうというのがあります。
連載している中で伏線の種を撒いておいたが、作者すらもその種の存在を忘れてしまうパターンです。
長い間種を眠らせておいて、後で回収すれば読者は「こんな初期から伏線を張ってたんだ」と感心するでしょう。
ですが、長く眠らせすぎて作者も忘れてしまうというのがあります。
ですので、伏線を張った時はメモをしておくことをお勧めします。

いかがだったでしょうか。
以上が伏線についての解説になります。

それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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