小説を書いていてストーリーがマンネリ化してきた際に、「どんな事故を入れようか」と考えたりしていないでしょうか?
例えば、昔、ドラマで流行ったのが、展開に詰まったら主人公かヒロインが記憶喪失になるというものがありました。
流行った頃はみんなが使っていたため、使うと「またか」という感覚になるくらいでした。
このように「事故が起きる」ことに逃げていないでしょうか?
今回は事故が起きることに逃げるのではない、ストーリーの展開方法について解説していきます。
今回の記事を読んでいただければ、展開に困るということはなくなるでしょう。
それでは詳細を解説していきましょう。
偶然で起こる事故はご都合主義になりやすい
まず、上で例に出した、主人公やヒロインが記憶喪失になるパターンについてです。
大概は「事故のショック」によって「記憶喪失」になるという流れです。
これの何が行けないかというと、既に「偶然が2回続いている」というところです。
つまり「事故が起こる」と「たまたま記憶喪失になる」という偶然が重なっています。
さらに事故に遭っても、大けがをすることなく、ピンポイントで記憶だけ持ち去られるみたいな状況です。
しかも、この「記憶喪失なるタイミング」も、「ちょうど」主人公とヒロインが上手くいきそうなタイミングでなることが多いんですよね。
そう考えると3つの偶然が重なっている状態になります。
どうでしょうか。
これはもうご都合主義と言っても過言ではないでしょう。
このように「事故が起きる」ことは「偶発性が高い」ので、どうしてもご都合主義っぽくなってしまいます。
では、どうすればこれを回避できるでしょうか。
簡単です。
「偶発性が高い事故」にしなければいいのです。
偶発性が高くない、つまり偶然ではなく、事故が起こるのは必然だったという形にするということです。
では、事故が起こるのを必然にするにはどうすればいいかというと、「伏線」を張ればいいのです。
例えば、事故に巻き込まれるにしても、前もって「あそこの交差点は事故が多い」というような情報を出して伏線を張っておけば、事故に巻き込まれたとしても、不思議ではありません。
ただ、この伏線の張り方も雑だと、読者に見透かされて伏線というよりフラグと言った感じで苦笑いされるでしょう。
ですが、張らないよりはずっといいので、張るようにしましょう。
そして、このような伏線は直前で張るとわざとらしく見えるので、ある程度、前のシーンで張るといいでしょう。
ただ、それでも事故というのはどうしても「偶然性」が含まれるので、ストーリー展開に事故を使うのはあまりお勧めできません。
事故ではなく事件を起こす
では、事故を使わずにどのようにしてストーリーを展開させるのがいいかというと、事件を起こすのです。
事件は偶然で起きるのではなく、起こす人間がいて初めて起きるものです。
つまり「必然」になります。
ただ、ここで注意してほしいことがあります。
それは「偶然、事件に巻き込まれる」というのは文字通り「偶然」になるので、ご都合主義になってしまいます。
ですので、あくまで主人公を狙ったとか、ヒロインを狙ったとか、主人公といつも一緒にいる人を狙ったなど、事件の当事者、もしくは近くにいるようにしてください。
始めだけは例外
ここで少しだけ例外について書いておきます。
この「偶然、事件に巻き込まれる」というのは「物語のスタート」だけは使ってもよいです。
その物語のきっかけとなる事件や事故は「偶然」でも読者は気になりません。
例えば、名探偵コナンは行くところ行くところで事件に巻き込まれますが、ご都合主義には見られません。
また、水戸黄門なども、行くところ行くところで「悪さをしている人がいる」というのがありますが、これもご都合主義にはなりません。
なので、最初の一回だけは偶然を使っても良いです。
事件は感情の揺れで起こる
話を戻します。
最初の一回の偶然があり、そのあとのストーリー展開は必然性のある事件を起こすのが良いです。
そして、事件というのは人の感情の揺れで起こります。
つまり、ずっと我慢していた感情が爆発するとか、怒りや、好意、愛情などなど、感情が揺れることで事件を起こすということです。
感情の波がなく事件を起こすのはサイコパスだけです。
ということは、ストーリーが硬直した場合、登場人物の「感情」に注目してみてください。
人間関係というのは複雑なものです。
一見すると仲が良さそうでも、その裏では憎しみを募らせていることもあります。
そういう要素に目を向けてみるのです。
誰か、行動を起こしそうなキャラクターがいないかを探してみるのです。
もし、見つけることができれば、そこから事件を起こしてストーリー展開を作ることができます。
ただ、見つからないことも、当然、あるかと思います。
その場合は新キャラを出すというのも手なのですが、お勧めなのは前のシーンに、新たに伏線を入れて「感情の波を作っておく」という方法です。
前のシーンに、感情が動く種を撒いておくのです。
そして、ここでいう事件というのは必ずしも大きなものでなくてもよいです。
たとえば、ちょっとした悪戯から、人の勘違いにより大きな事件になっていくとか、ちょっとしたいざこざでも、キャラクターの関係性が揺れることもあります。
その作品にあった事件を起こしていきましょう。
最後に、どうしてもキャラクターの感情の揺れが見えてこないという場合ですが、「キャラクターの深掘りができていない」可能性があります。
主人公とヒロインのみ、深掘りしていて他のキャラがおざなりになってしまっているという可能性があります。
そういう点でも、改めてキャラクターの感情を追うのは、そのキャラクターがしっかり描かれているかの確認にもなります。
上手く事件が起こせない場合は、キャラの深掘りをしていくといいでしょう。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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