キャラクターの簡単な作り方について

シナリオライター編

ストーリーに欠かせないのがキャラクターです。

主人公やヒロインなどはしっかり作り込むと思いますが、その他のキャラクターに関しては「ストーリーの都合」で動かしてませんか?

ストーリーの都合でキャラクターが動いた時、読者は「ご都合主義」と思うわけです。

また、ちゃんとキャラクターが練られていると、書いていて「勝手に物語が動き出す」ということも起こってきます。

この状態になれば、その作品は盛り上がり、読者も引き込まれていきます。

今回はそんな重要要素であるキャラクターについて解説していきます。

この記事を読めば、もう「ご都合主義のキャラクター」とは言われなくなります。

では、最初に結論を書いていきます。

キャラクターは「性格をしっかり作り込む」ことと「最善の行動をする」ことに気を付ければいいのです。

それでは詳細を解説していきましょう。

履歴書は必要ない

あなたはキャラクターを作る際に、どうやって作っていますか?

よくある方法として、「キャラクターの履歴書を作る」というものがあります。

身長は何cmで、体重は何kgで、目の色、髪の色、肌の色、父親は誰で、母親は誰で、兄弟はいない、10歳で○○が起こって、11歳では○○ということがあって……。

などと表を作ってキャラクターを作っていたりするでしょうか?

確かに、この履歴書を作ると役には立ちます。

ですが、考えてみてください。

登場キャラ、全員、この「履歴書」を作っていくのですか?

そんなのはキャラクターを作るだけで「時間」がかかり、「疲れ」ます。

中には「主人公」と「ヒロイン」、「重要なキャラ」のみ作る、という方もいるかもしれません。

ですが、そういうことをすると、上で書いたような、「重要なキャラ以外はストーリーの都合で動く」という状態が発生しやすくなります。

なぜなら、「履歴書を作っていない」からです。

履歴書の有無で、キャラクターとしての作り込みの差があるため、どうしても履歴書がないキャラクターは弱くなってしまうわけです。

かといって、登場キャラクター全員の「履歴書」を作るのは「時間」と「体力」が必要です。

ここで、注意なのですが履歴書を作ることを否定しているわけではありません。

昔の有名な映画監督などはキャラクター一人に対してノート一冊分の履歴書を作るという話もありますし、ジョジョの奇妙な冒険の荒木先生は「荒木飛呂彦の漫画術」にて、実に細かくキャラクターの履歴書を作っているのが紹介されています。

荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】【電子書籍】[ 荒木飛呂彦 ]

ただ、こちらは監督として、漫画家として「地位を確立」されているからできるわけです。

体力はもちろん『時間』があるのであれば、全キャラクターに対して、履歴書を作れば、全てのキャラクターに奥行きが出て、生き生きとしたキャラクターが描けるでしょう。

ですが、あなたはどうでしょうか?

時間はありますでしょうか?

デビューまでには作品を「数多く」作っていく必要があると思います。

それに、デビューするだけが「最終目標」なのであれば、一つ一つのキャラクターを作り込んで、時間をかけてもよいと思います。

ですが、デビューしてから、「作家として食べていく」のであれば、やはり「量産」できるようになっていないと厳しいといえるでしょう。

では、どうすればいいのかというと『必要最低限の部分』を決めるだけにすればよいのです。

性格に関連することのみ決めればよい

キャラクターで一番大切なのは「性格」です。

漫画の場合はもちろん「デザイン」も重要ですが、小説の場合はそもそもキャラクターデザインは「イラストレーター」が作ります。

あなたが外見を詳細に思い浮かべて作り込んでいたとしても、それが反映されるかはわかりません。

また、小説は文章で魅せるジャンルなので、「性格」が一番重要です。

なので、キャラクターを作る際は「性格に必要な」部分のみで問題ありません。

では、例をあげて解説していきましょう。

例えば、「髪が赤い」という設定に関して、「その世界で、髪が赤いことが特殊」であるなら設定するべきです。

というのも、主人公が「特殊な髪の色」をしている場合、周りはそのことを「意識」します。

そして、主人公自身も「意識されることを意識」します。

自分の髪を隠そうとするのか、逆にこれが自分のアイデンティティだと言って、堂々としているのかで性格が分かれてきます。

もし、「その世界では赤い髪が特殊ではない」のなら、わざわざ髪が赤いと設定する必要はないです。

HUNTER×HUNTERの「クラピカ」は「クルタ族で感情が高まると目が赤く染まる」という設定です。

これはクラピカが「クルタ族」であることはもちろん、「後悔と復讐」という部分が性格に大きく作用しているので、「目が赤く染まる」という設定が「必要」なわけです。

逆に「赤くなる前」は「何色でもいい」わけです。

このように、身体に「特徴がある」と初めて「性格に影響」が出ます。

「普通」であるなら、「設定しなくてもよい」のです。

身体的な特徴でもう一つ例を挙げるとするなら、鋼の錬金術師のエドワードは「背が低い」ことがコンプレックスです。

背が低いと言われるとブチ切れます。

これも完全に性格に影響が及んでいるので、「設定する必要」があります。

次に親族関係についても考えてみましょう。

親が誰なのか、生存しているのか、親がどんな性格なのか、などなども、「キャラクターの性格に影響する」のなら設定が必要でしょう。

例えば漫画ばかりになってしまうのですが、NARUTOのナルトは「両親が死んでいるため、天涯孤独」の状態です。

この「天涯孤独」の部分がナルトの性格に「大きな影響を及ぼして」います。

寂しいから悪戯をして、周りに構って貰おうとします。

寂しいから火影になって、みんなに認めてもらいたいと思っています。

さらに突っ込んで考えると「火影の息子」だったからこそ、九尾を封印されていた、ということにもつながるのですが、ナルトが「短編」だった場合は必要のない設定になります。

反対に「涼宮ハルヒの憂鬱のキョン」や「化物語の阿良々木暦」「ソードアートオンラインのキリト」達は両親が性格に影響を与えていませんので、「親が誰であるかや両親の名前」なども全く必要ありません。

「俺の妹がこんなに可愛いわけがないの京介」に関しては物語の核となるので「妹がいる」ということは設定が必要ですが、もし、妹との話ではない場合は性格に影響を与えていないので「妹がいるかどうか」は設定が必要ありません。

あとは肩書きも性格や行動に影響を与えるので、「必要であれば」設定をしましょう。

例えば「王様」であれば、王様としての思考になりますし、「学生」であれば、思春期特有の精神的な揺らぎがある、など「性格に関わってくる」ので必要です。

このように、キャラクターを作る際は「普通とは違うことで、そのキャラクターの性格に影響する」もののみを書き出していきます。

性格を作るのがゴール

ここで意外な落とし穴があるので、注意として解説しておきます。

中には「設定を作って満足」する方がいます。

それでは全く意味がありません。

設定はあくまでキャラクターの設計図です。

その設計図に基づいて、「どんな性格なのか」を作って初めてゴールになります。

では、性格を作ると言うのはどういうことかを解説しましょう。

それは「どんなことは話す」のかと「どんな行動をするか」という部分を決めることです。

普段の話し方や、意外なことに遭遇した際の行動の仕方などを考えておくことです。

なので、ある程度の会話シーンや、数個の意外なことに遭遇した際の行動パターンを考えておくとよいでしょう。

ただ、「意外なこと」というのは無数にパターンがありますので、全て洗い出すのは不可能です。

なので、最低限、このキャラクターは何を大事にしているのか、というのを3つくらい作っておきましょう。

ONE PIECEのルフィでいうと下記の3つを大事にしています。

1.仲間を大切にすること

2.海賊王になること

3.食欲(肉好き)

おそらく上の順番で作られていると思います。

例えば、「仲間を犠牲にすれば海賊王になれる」という状況に陥っても、ルフィは仲間を優先するでしょう。

では「肉を我慢すれば海賊王になれる」のであれば、いくらルフィでも肉を我慢するでしょう。

目の前に美女と肉が並んでいれば、肉の方に飛びつくでしょう。

(サンジは真逆になります)

この部分を最低限作っておき、実際のストーリー上で動かしていけば、「ご都合主義」とはならないでしょう。

また、キャラクターの性格とは別に「物語として必要」という設定があります。

これに関してはキャラクター作りの際ではなく、ストーリーを作っていく中で「追加」していきましょう。

この「物語に必要な設定の追加の仕方」については別の機会に解説したいと思います。

いかがでしたでしょうか。

もちろん、キャラクターは作り込めば作り込むほど良い物ができる可能性が高いです。

ですが、それは「時間と労力」が必要になります。

デビューを目指し、作品を「量産」する場合は、どうしても一人のキャラクターにさける時間は限られてきます。

必要最低限の設定で「時間と労力」の消費を抑えていくことも必要になってくるでしょう。

それでは今回はこの辺で。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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