ゲームシナリオにおける箱書きの作り方と注意点

シナリオライター編

ゲームシナリオで箱書きを作成してほしいと依頼があったとき、どのようにして作ったらいいのか?
今回はどんな視点で書くか、どんな注意点があるかを解説していきます。

基本的な箱書きの書き方は同じ

ゲームシナリオでも、フォーマットや書き方自体は普通の箱書きと変わりません。
プロジェクトによっては、独特なフォーマットがあるかもしれませんが、構成や要素などは基本的な箱書きと同じになります。

箱書きの書き方については下記の記事で解説しています。
箱書きとは?箱書きの種類と使い方

ただし、ソーシャルゲームでのシナリオならではの注意点はあります。
今回はその部分に焦点を当てたいと思います。

ブロックと長さを決める

まずはプロットで作ったブロックから、今回作成するブロックを決めます。
基本的にゲームシナリオは「終わらせない」想定なので、必ず〇〇編や〇章というような形でブロックが存在するはずです。
この辺りについては下記の記事で詳しく解説してあります。
売り上げ激減を回避!ソーシャルゲームのプロットの作り方

ブロックを決める際ですが、単純に最初から(時系列に沿って)順番に出していけばいいというわけではありません。
場合によっては時系列を逆で見せることでストーリーを効果的に見せることが出来たりします。

たとえば、漫画の鋼の錬金術師では過去編のどうしてエドたちの肉体が失われることになったかを、ある程度ストーリーが進んでから描いています。
それは読者に、まずはエドたちに感情移入させてから、読者自身に「気になる」と思わせてから描いています。
また、読者はエドたちが肉体を失うと知っているので、ハラハラしながら読んでいきます。
これが時系列通りに幼年編からスタートしたとしたら、印象は全然違っていたでしょう。
下手をすると打ち切りになっていたかもしれません。

その部分は「構成」というのですが、機会があればそのあたりも解説したいと思っています。

また少し話が逸れますが、この「構成」で秀逸な映画にメメントという作品があります。
この作品は時系列を正反対に見せるという変わった構成をしています。
構成の勉強をしたいと思った場合は、是非、見てみるといいでしょう。

話を戻します。
どのブロックを書くかが決まったら、今度は長さを決めます。
これはもちろん「ストーリーの長さ」もありますが、「リリース時期も含めた期間の長さ」も視野に入れて考えてください。

たとえば、同じ8話という長さで同じ内容のストーリーだとしても、下記の違いでユーザーの印象は大分変ってきます。
・1ヵ月に1話ずつを更新、公開
・3ヵ月に1話ずつを更新、公開

最初の例でいえば、8ヶ月で終わりになりますが、後の例でいうと24ヶ月、つまり終わるのに2年かかります。
全く同じストーリーでも、2年もかかってしまうとユーザーからは「飽きられ」てしまい「まだやってるの?」ということになります。

ゲームのストーリーの場合、ユーザーは「話数」ではなく「期間」で考えてしまうからです。
それは以前にも解説したのですが、あくまでユーザーは「ゲームをしに来ている」のであって「ストーリーを読みにきているわけではない」からです。
ですので、どうしても「期間」で考えられてしまう場合が多いというわけです。

プロジェクトでの更新頻度を考慮に入れた上で、どのくらいの長さにするかを決めていきましょう。

波を作る

ブロックの長さが決まれば、自ずとストーリーの分量も決まってきます。
ここで注意があるのですが、各話数は同じくらいの分量にした方がよいです。
つまり、1話は2万文字で3話は10万文字というように、長さをバラバラにしないことです。

漫画やドラマなど1話の長さは大体同じです。
なので、ゲームのユーザーでもその感覚は同じになります。
無意識に1話の長さは同じくらいと考えてしまうわけです。
そんな中、1話ごとに対して長さがバラバラだと、ユーザーからしてみると「チグハグ」感が出てしまいます。

絶対に止めろというわけではないですが、1話の長さは同じにした方がいいでしょう。

ストーリーの分量が決まれば、あとは通常の箱書きを作る要領でシーンを箱書きに入れ込んでいきます。
ただ、この作業の前にこのブロックでのプロットを作った方がよいでしょう。
プロットでストーリーの流れを確認した上で、箱書きを作った方が調整する範囲は少なくて済みます。
というより、そもそものストーリーの流れがダメだった場合、箱書き自体が無駄になってしまいます。

箱書きを作ったら、波を作っていきます。
盛り上げどころです。
これが無いと、ユーザーが飽きてしまいます。
これはゲームのシナリオだけではなく、どんなストーリーでも盛り上げどころは必要になります。

ここでも1つ注意があります。
それは必ず1話の中でも盛り上げどころを作る必要があるというところです。
ストーリーを読んでいて、何事もなく、単に説明するだけで終わってしまうと「つまらない」という感覚を持たれてしまいます。
するとたとえ、次の更新が入ったとしてもユーザーに読んでもらえません。

ソーシャルゲームにおけるストーリーの役割は、ユーザーの離脱率回避とログイン率(DAU)の上昇です。
ですが、そのストーリーに興味を持ってもらえないと、どちらの効果も得られません。

これは漫画やドラマでも同様にいえるのですが、「次」を見てもらうための引きが必要ということです。
人気の漫画やドラマでは必ず「次が見たい」と視聴者が思うようなストーリー構成になっています。
そういう部分に注目して作品を読むと勉強になります。

施策を考慮する

ソーシャルゲームで切っても切れないのが「施策」です。
逆に言うと「施策を成功させるためにストーリーがある」くらいの考え方でもよいくらいです。

その時期にどんな施策があるのか、どんなキャラクターがリリースされるのかも考慮して箱書きを作っていきましょう。
この部分は冒頭の「ブロックを抜き出す」際に、施策も考慮したほうがよいでしょう。

ただ、そこまでガチガチに考えるというわけではなく、「この時期にこのキャラクターが出るから、このキャラクターを立てておこう」くらいの感じで大丈夫です。
ストーリーで、そのキャラクターを立てておけば、そのキャラクターは人気になっている可能性が高いです。

素材を洗い出しておく

プロットの段階でも可能かと思いますが、箱書きが出来てしまえば「必要な素材」は洗い出せます。
既存の素材だけで大丈夫なのか、新たな素材が必要ではないかを、遅くとも箱書きが完成したタイミングで洗い出しておく必要があります。

もし、新たに素材が必要となれば、各所に連絡を入れて作成依頼を出しておきましょう。
ここを怠ると、いざストーリーが出来たとしても、「そのキャラのイラストがありません」や「その背景は無いです」ということになりかねません。
そうなった場合、ストーリーの方を変える必要が出てきてしまいます。
そうならないためにも、必ず「必要な素材」は洗い出しておきましょう。

以上がソーシャルゲームにおける箱書きを作る際の注意点となります。
まだ、ソーシャルゲームでのストーリーを作り慣れてないという場合は、参考にしていただければと思います。

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合わせて読んでみてください。
ゲーム業界者用の記事まとめ プランナーやライターは必見!

それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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