ゲームシナリオでも使えるドラマの作り方について

シナリオライター編

今回はドラマについて解説していきたいと思います。

よく新人賞などの批評やユーザーレビューで、『ドラマがない』という言葉が出てくることがあります。

私も以前は「この作品にはドラマがない」と言われ続けてきたという経験があります。

しかし、単に「ドラマがない」とだけしか言われないので、「ドラマってなんだろう?」という疑問しか残りませんでした。

ですが、ドラマと呼ばれるものの要素を抜き出して考えてみると解決しました。

結論を言ってしまうとドラマとは『対立』のことになります。

ただ、対立といっても、戦わせればいいというわけではありません。

では、どうすれば対立になるか、ドラマになるかを解説していきたいと思います。

対立は信念のぶつかり合い

その場のちょっとした喧嘩ではドラマとは言えません。

例えば、ラーメンが食べたいAとカレーが食べたいBが、どっちを食べに行くかで喧嘩するという対立ではドラマとは言えないということです。

では、どのくらいの対立かというと、信念がぶつかり合ったときにこそ、ドラマが生まれます。

つまり、『絶対に譲れない部分』が相容れない相手と対立することでドラマが発生していきます。

ここで、最初の『批評でドラマがないと書かれた』ときのことを考えてみましょう。

戦い(バトル)があるのに、ドラマがないと書かれていたとしたら、『信念』が描かれていないということでしょう。

大体の作品は主人公に対しては掘り下げはされるのですが、『相手側の掘り下げがない』ため、『相手の信念』が描かれていない為に『信念のぶつかり合い』になっていない、ということです。

魔王と勇者の戦いのストーリーというのは王道ですが、お互いが『命をかけて戦っている』ので、ドラマがあるように見えるのですが、『魔王側』の心情が描かれていないとドラマ性は薄くなります。

例え、それぞれの全てを掛けて戦っていても、ドラマにはならないわけです。

良い例として、『ドラゴンクエスト』を見てみましょう。

ドラゴンクエストの1、2、3は勇者たちが魔王を倒すというストーリーになっています。

勇者の方も、魔王の方も特に掘り下げはなく、魔王が悪だから、正義の勇者が倒しに行くという流れです。

ここにドラマがあるか、というとドラマ性は薄いと言わざるを得ません。

では、ドラゴンクエスト4を見てみましょう。

勇者の方は魔王デスピサロに村を全滅させられ、幼馴染も自分の身代わりになって殺されました。

このバックボーンがあり、勇者は魔王を倒すことを決意して旅にです。

一方、魔王であるデスピサロに関してもバックボーンが描かれています。

最愛であるロザリーを人間たちによって殺されています。

そのことでデスピサロは人間全てを滅ぼすことを決意します。

勇者と魔王にそれぞれ、バックボーンを描き、お互いの信念をぶつけ合ったお話になっています。

そんなためか、デスピサロはボスの中ではかなり人気のキャラクターになっています。

また、リメイク版ではありますが、ボスが仲間になるというのはドラゴンクエスト4くらいになります。

これはユーザーがデスピサロにも共感できる部分があるからこそ、受け入れられたのでしょう。

共感できるからこそ盛り上がる

ここで注意が必要なのが、『ドラマが無いと盛り上がらない』というわけではありません。

別にドラマ性が薄くても盛り上げることはできます。

例えば、バトル自体がシーソーゲームになっていて、どっちが勝つのかわからないとか、敵が強大過ぎて、どうやって倒していいかわからない絶望状態からひっくり返すという内容でも、十分、盛り上がります。

これはバトル漫画などでよく使われる手法です。

あとは謎に対してのアンサーを描くというのも、十分盛り上げることができます。

これは推理物などで使われる手法ですね。

では、なぜドラマ性が必要になるか、という点です。

それは面白さを強くするためになります。

主人公と敵の信念のぶつかり合いを見せることで、より読者を物語に没頭させることができます。

どちらの想いも知っているからこそ、その両者がぶつかるシーンから目が離せなくなります。

ただ、ここで注意が必要なのは、信念が『共感できる』ことにするべきです。

共感できる信念がぶつかって、初めて盛り上がります。

例え、信念を描いたとしても、読者の共感が得られないようでは、ドラマ性は弱いままになります。

例としては、敵が単なるサイコパスで人を傷つけることが快感でたまらない、それをするためにはどんなこともするという信念を持っていたとしても、大抵の人は共感できません。

そんな敵と主人公が戦ったとしても、全員が主人公を応援すると思います。

ドラマの盛り上げ方としては「どっちが勝ってもいい」と思わせると、さらに効果的です。

この方式でとても上手いと思うのは「弱虫ペダル」です。

弱虫ペダルは相手の学校のバックボーンも描き、ある意味、主人公たちよりも負けられないという思いが強いようにも見えます。

そんな相手の学校と争うのは、見ていて胸が熱くなっていきます。

ただ、そのバックボーンが全て回想になっているため、ストーリーがストップしてしまい、展開が遅いという弱点もあります。

この辺は工夫が必要になってきます。

では、最後にまとめです。

物語はドラマがなくても面白くできます。

ですが、ドラマを入れることでより物語を面白くすることができます。

ただ、何でもかんでもドラマを入れればいいというわけでもありません。

物語のジャンルによってはドラマがない方が良い場合もあります。

新人賞の批評で「ドラマ性がない」ということが書かれていた場合、その物語には盛り上がる箇所がない、他に目を見張るものがないという理由も考えられます。

つまり、「ドラマ性がない」としか「書けない」というパターンです。

その場合、ネタ、キャラクター、構成が悪く、せめてドラマ性がないとつらいという場合も考えられるということです。

ですので、もし、そう書かれた場合は単に「ドラマ性を足す」のではなく、ネタ、キャラクター、構成を見直し、そもそも、「ドラマを入れた方が良い話なのか?」という部分から考えてみた方がよいでしょう。

それでは今回はこの辺で。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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