キャラクター作成に使える心理学 人は見たくないものは見えない

シナリオライター編

オリジナル創作で必須なものといえばなんでしょうか。
その一つしてあげられるのが、キャラクター作成です。

では、キャラクター作成で必要なものはなんでしょうか。

当たり前ですが、キャラクター作成は新しいキャラクターを作り出す作業になります。
その際、考えなければならないのが「ヒーロー性」と「共通性」です。

現実の人ではなかなかできないことができてしまう人に、人は憧れを抱きます。
スポーツ選手や芸能人がいい例でしょう。
しかし、ヒーロー性だけでは人は感情移入することができません。
なぜなら、自分ができないことをやれる人の感情を理解しづらいからです。
キャラクター作成でも同様で、ヒーロー性だけでは読者や視聴者を感情移入させることはできません。

では、どうしたらいいかというと、もう一つの要素である「共通性」を入れることです。
つまり、読者や視聴者が感情を理解できる部分を入れることで、そのキャラクターの感情を受け入れることができます。

次に「共通性」を入れるにはどうしたらいいのでしょうか。
それは自分を基準に考えてもいいですが、一般的な例を入れるのもいいでしょう。

前置きが長くなってしまいましたが、一般的な例として「心理学」が役に立ちます。
今回はキャラ作成に使える心理学について解説していきます。

人は見たくないものは見えない

例としてフロイトの本「精神分析入門」に載っている実話に基づいた話を出します。
ある一組の夫婦がいました。
その夫婦の仲は冷え切っています。

ある日、夫は妻から貰った本をどこかへしまい込んでしまいます。
どこにしまったか忘れてしまった夫は、色々な場所を探しますが、見当たりません。

ですが、病気になった夫の母親を妻が献身的に看病をする姿を見ます。
感激した夫が、ふと机の引き出しを開くとそこには紛失した、妻から貰った本があるのを見つけます。

もちろん、夫は探したときに机の引き出しを開いて見ています。

では、なぜ以前見たときは見つけられず、感激した後では見つけられたかの解説は次のように書かれています。

夫が最初に本を見つけられなかったのは、錯誤行為と呼ばれる現状で、妻への無意識の嫌悪感から見えているはずの本を無視したのです。
逆に妻の献身ぶりを見て、嫌悪感がなくなったとき、夫の錯誤行為が解除されたのです。

これは実話とのことです。
フロイトは日常の何気ない行為や出来事の中に、人間の本心が顔を出していると指摘しているのです。

また、人が名前を忘れたり、言い間違いすることも、決して偶然に起きているわけではないと解説しています。

では、このことを、どうキャラクター作成に活かせるでしょうか?

単にこういう心理学を使う場合には注意が必要です。
最初の錯誤行為の部分である、嫌悪感から見えているはずの本が見えなかったという部分をそのまま使ったとします。

これを小説や漫画で使ったらどうでしょうか。
小説の部分や漫画のコマで、「本は見当たらなかった」としておいて、後で「探したところで見つけた」という流れにすると、読者は混乱してしまします。
たとえ、上のように説明をしたとしても、あまり納得できないでしょう。
下手をすると、そのキャラクターは「なんかおかしい」とさえ思われてしまう危険があります。

それではどうすればいいのかというと、「嫌悪感があるときは見えなかったもの」が「嫌悪感がなくなったときに見えるようになる」という要素を使います。
たとえば、あるAというキャラクターがBというキャラクターを嫌っていたとしましょう。
AはBが給食のパンを残して、カバンに入れるのを見ます。
そのときは、ケチな奴と思います。
そしてAは学校から帰るときに、Bが学校の裏庭へ向かうのを見ます。
そのときは、嫌悪感があるため、特に気にすることなくAは帰ってしまいます。

そして、AがBに対しての嫌悪感がなくなった際は、Bが何をしているのか気になって見に行きます。
するとBが放課後に動物小屋へ行き、パンを動物にあげているのを見つけます。
こうなると、AはBへの嫌悪感がひっくり返り、逆にいい奴だと思うようになります。

……少し、キャラクター作成とは外れてしまいました。
これはどちらかというと、キャラクター作成というよりストーリー展開の話になってしまいました。
このように、心理学をストーリー展開にも使うことができます。

話を戻しましょう。
上の例でキャラクター作成で使える部分はどこでしょうか。
「名前を忘れたり、言い間違いすること」という部分が使えるのではないでしょうか。

例を出すと、NARUTOのマイト・ガイがいます。
ガイはすぐに人の名前を忘れてしまいます。というより、興味がないと覚えない、と言った方がいいでしょう。
逆にライバルと認めた相手や部下の名前は忘れることはありません。
つまり、名前を覚えたということは「認めた」という証に使えます。

なかなか名前を覚えれないという人は、一般の多くの人が経験しているのではないでしょうか。
大勢いるアイドルグループのメンバーの名前を、最初は覚えられないかもしれません。
ですが、ファンになれば、すらすらと出てきます。
こういうことは結構聞く話です。

このように「共通」部分をキャラクター作成に盛り込むことで、人は感情移入しやすくなります。

キャラクターに共通性を持たせるために、心理学を取り入れてみてはいかがでしょうか。

以上が、キャラクター作成に使える心理学の内容になります。
いかがでしたでしょうか。
少しでもあなたの参考になれば幸いです。

それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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