ゲームにおける敵キャラクターの作り方

シナリオディレクター編

どんなに魅力的な主人公を描いても、敵キャラに魅力がなければストーリーは盛り上がりません。
今回は魅力的な敵キャラクターの作り方について解説していきます。

どの立ち位置の敵キャラか

敵キャラといっても大きく以下の3つに分類することができます。
・雑魚キャラ
・中ボス
・大ボス

分類によって敵キャラの役割が大きく違ってきます。
役割に従って作り方も決まってくるので注意しましょう。

雑魚キャラ

主人公(味方キャラなど)の強さを引き立てるという役割を持ちます。
主人公の初バトルや修行後などに登場させて、主人公の強さを引き立てるという役割です。
ゲーム上、ユーザーが一番目にする敵になります。

特徴としては「大人数」であることが多くなります。
普通では諦めてしまうほどの数の敵を一瞬で倒してしまう、というのは強さを引き立てるという点で見せやすいです。
演出も派手になるので、よく使われます。

ここで注意なのですが、いくら雑魚キャラと言っても弱すぎてはなりません。
必ず一般人よりも強くしてください。
いくら数が多くても、「俺でも勝てるだろ」というような敵だと、主人公の強さが引き立ちません。
ヒョロヒョロのガリガリで、何もしなくても暑さで倒れてしまうようなキャラが大勢では意味がありません。

『らんま1/2』の五寸釘や『ろくでなしブルース』の中島が50人くらいで押し寄せてきたとしても、あまり脅威にはなりません。
逆に主人公が弱いものいじめをしているようにさえ見えてしまいます。

ですので、絶対に「一般人よりも強い」という描写を描いてから主人公に倒させてください。

ワンピースでいう「海兵」は武器も持ていますし、訓練されていますから一般人よりも強いというのは感覚でわかります。
ナルトの一般「忍者」も同様になります。
一般人よりも強いだろうと思ってもらえればいいので、必ずしも一般人を傷つけているシーンを描く必要はありません。

中ボス

バトルを盛り上げる役割を持ちます。
主人公の強さを引き立てる役割を持つこともありますが、雑魚キャラと違って一瞬で決着というわけにはいきません。
バトルを盛り上げなければなりませんので、ある程度の強さを持つ必要があります。

中ボスの強さは主人公よりも少し強いか、少し弱いかくらいになります。
必ず拮抗していないとなりません。

少し弱い場合の中ボスの役割

この中ボスの役割は「主人公たちの相対的な不利」を描くための役割になります。
主人公たちが大ボスと戦う前に怪我を負う、中ボスに手こずっていては大ボスにはとても勝てない、仲間が離脱するなど、主人公サイドが不利になるようなことが起こります。

王道としては中ボスは複数いて、主人公が連戦したり仲間が戦って、戦線から離脱、もしくは怪我を負う形になります。
ブリーチの尸魂界篇の「班目」「恋次」「涅マユリ」がこのポジションに当たります。
るろうに剣心でいうと「安慈」や「宇水」「宗次郎」が中ボスになります。

均衡したバトルを繰り広げて盛り上がりますが、主人公サイドの戦力は低下します。

少し強い場合の中ボスの役割

少し強い場合の中ボスの役割は「主人公の成長」を描くための役割になります。
このまま大ボスと戦っても主人公は勝てないという状況の際に、少し強い中ボスと戦うことで追い詰められ「新しい力」を得たりします。
戦いの中で成長するという流れです。

これはバトルも盛り上がり、主人公も成長するという一石二鳥の手法です。
バトル漫画では割と多く使われています。

ブリーチの「剣八」などがそれに当てはまります。
新しい力の鱗片を出し、その力で勝てなかった敵に勝つと、同時に主人公が強くなったというのも描けます。
そういう点でいうと「剣八」はいい中ボスだったと言えます。

また、中ボスはバトルを盛り上げるということで、割と長い間登場します。
雑魚キャラと違って、一瞬で退場となるわけではありませんので、キャラ性をしっかりと作る必要があります。
特に「何のために戦っているのか」という理由の部分は必須になります。

バトルはただ戦ってればいいというわけではありません。
必ず「理由」が必要になります。
お互い、負けられない理由を背負って戦うからこそ、バトルが盛り上がるのです。
作りこんで話が長くなってはいけませんが、ちゃんと理由は用意しておきましょう。
その理由が読者に感情移入してもらえれば、きっと人気となるいい敵キャラが生まれることになります。

大ボス

大ボスの最大の特徴としてあげられるのが「カリスマ性」です。
カリスマ性のあるキャラを描ければ、魅力ある大ボスが誕生します。
魅力ある大ボスが用意できれば、読者はそのボスと主人公が戦うのが楽しみになるので、目が離せなくなります。

そして、もう一つ外せない要素としては「圧倒的な強さ」を持つことです。
少なくとも登場時には「絶対に主人公たちは勝てない」と思わせるほどの圧倒的な強さを見せつける必要があります。
「このボスをどうやって倒すのか」というのがバトルもの醍醐味です。

カリスマ性とは

ではカリスマ性とは一体何でしょうか。
よくカリスマ性のあるボスとして挙げられるのがワンピースの「クロコダイル」やジョジョの奇妙な冒険の「ディオ」です。
たしかに、この2人のキャラクターは登場時や戦う際には「圧倒的な強さ」を誇っていました。
ですが、ストーリーが進むに従って、その2人よりも強いであろうキャラクターは出てきています。

ワンピースでいうと四皇の「ビッグマム」やジョジョの「ディアボロ」辺りが挙げられるでしょう。
ですが、上の2キャラに関してはカリスマ性があると言われません。
ということは「強さ」ではないということがわかります。

カリスマ性とは人を惹きつけるというものになります。
「クロコダイル」と「ディオ」の共通点を見てみましょう。

2人の共通点として挙げられるのは以下の要素です。
・圧倒的な強さ
・余裕がある
・自分への絶対的な自信
・欲望に忠実
・躊躇しない
・知的

大体、これくらいでしょうか。

では一つずつ見ていきましょう。
「圧倒的強さ」ですが、これは純粋に戦闘の強さでなくてはならないというわけではありません。

頭脳戦のものを作る場合は「頭脳」が飛びぬけて優れているというのもあります。
デスノートの「L」がそれにあたりますね。
ジャンルに合わせた「強さ」を描いていきましょう。

次に余裕があるという部分です。
何か想定外のことがあってもドッシリと余裕がなくてはなりません。
いくら強くても、すぐに慌てるようなキャラクターでは小物になってしまいます。

これは次の「自分への絶対的な自信」と紐づくのですが、自分に絶対的自信があるので何があっても揺るぐことはありません。
その自信が懐の深さ、器の大きさになっていくのです。

そして、この絶対的な自信があるからこそ、自分の欲望に忠実になれるのです。
どんな相手が敵になろうとも、全て叩き潰せる自信があるので、他者を踏みにじるような行動ができるというわけです。

刃牙でもこんなセリフがあります。
「強さとは我儘を押し通せる力があること」
そういう力を持った人間が、カリスマ性があるのでしょう。

また、躊躇しないというのも重要な要素です。
他人のことは気にしていないので、どんな行動でも躊躇することなく実行に移せます。

おそらく、ここが重要なポイントになるかと思います。
普通は周りの目が気になったり、道徳や法律があるので行動の制限がかかります。
ですが、カリスマ性のあるキャラクターはそれを気にすることなく、突き進みます。
そこに「憧れ」をもつのです。
見ていて「すごい」となるのでしょう。

主人公の場合は「憧れ」と「感情移入」できる部分を作らないといけませんが、大ボスは違います。
「感情移入」できる部分は作らなくてもいいので、アクセル全開で「憧れ」の部分を強めていきましょう。

最後に「知的」であるというのも必要です。
いくら、強くて、自分に自信があって、欲望に忠実だとしても「頭の悪い行動」をしていたら、単に「痛い人」になってしまいます。
決して「頭の悪いキャラクター」には憧れません。

また、知的であることが品性を生み出します。
飛びぬけて頭がいいという形にしなくてもよいですが、少なくとも主人公よりは上であった方がいいかと思います。

仲間になるパターン

敵キャラは往々にして味方になるというのが王道化してきています。
たしかに、強かった敵が味方になり、主人公たちと一緒に戦うという展開は熱いです。
これはゲーム上でいうと「プレイアブル化」とよばれるタイプのキャラクターになります。

ですが、ここでも注意点があります。
仲間にするキャラクターによっては、読者が引いてしまう場合が出てきます。
つまり、仲間にしてはいけないというキャラクターが存在しますので、それについても解説していきます。

取り返しのつかないことをしたキャラはNG

欲望に忠実で、道徳に縛られずにアクセルを踏んで突き進むキャラクターはカリスマ性がある反面、取り返しのつかない行動をしてしまうことがあります。
たとえば、主人公の仲間たちを死に追いやることです。
(生き返るという設定がある作品は除外されます)

読者からしてみたら、「許せない」範疇のことですから、「仲間になる」なんてことはあり得ません。
これをしてしまうと、読者は熱い展開どころか、一気に冷めてしまいます。

ディオはカリスマ性のあるキャラクターですが、急に仲間になったら「え?」と戸惑うことになるかと思います。
これはジョナサンを筆頭に、花京院を死に追いやっています。
読者からしたら「許せない敵」なのです。

ですが、逆にクロコダイルは一度、ルフィと手を組んでいます。
当時は結構、このことで盛り上がっていました。
では、ディオとクロコダイルの違いを見てみましょう。

実はクロコダイルはかなり悪いことはしていますが、「直接手を下す」というシーンは描かれていません。
アラバスタ編では名前が出たキャラクターは一切、亡くなっていないのです。
また、過去でもクロコダイルが直接手を下しているシーンは出てきません。
そういうのもあり、読者は「悪い奴だが、許せる」という範疇になったのでしょう。

これが「アーロン」の場合は、過去でベルメールを手にかけているので、仲間になったら読者は引いてしまうでしょう。

ドラゴンボールでいうと、最初のピッコロは「亀仙人」「餃子」を手にかけています。
最初のピッコロが仲間になることはあり得ません。
ですが、「マジュニア」は敵でしたが、誰一人、手にかけていません。

また、ベジータも同様になります。
地球では一般人も、悟空の仲間たちもすべて「ナッパ」がやりました。
ベジータは見ていただけです。
(ナメック星では一つの村を潰していましたが、ギリギリの範疇だったのでしょう)

さらに直接手をかけるというわけでもなく、精神的に追い詰めるような「陰湿」なキャラクターも読者からすると仲間になることを快く思えません。

ですので、「仲間にしたい」と頭の片隅に少しでもあった場合は、そのキャラクターの行動には細心の注意を払いましょう。
ただ、それを気にし過ぎて、「小物」になってしまって本末転倒です。
臨機応変に敵キャラクターを動かしていきましょう。

どうでしたでしょうか。
魅力的な敵キャラクターの作り方を解説させていただきました。
少しでもあなたの参考になっていただければ幸いです。

それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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