小説を書く際に、今までプロットや箱書きを書いた方がいいとお勧めしてきました。
ですが、「そういうのを考えずに自由に、キャラクターの思うままに書きたい」と思う時があるかと思います。
プロットや箱書きを使うとストーリーラインが整い、最後まで完成させやすく、物語全体として読みやすくなります。
ですが、固い、いわゆる予定調和になりやすいという側面があります。
キャラクター推しの日常系の物語の場合、逆にキャラに全てを任せて自由に動かした方が面白くなる場合があります。
「よつばと」などがその典型的な例ですね。
よつばとはよつばを中心に登場人物とのやり取りが面白い作品です。
ただ、この方式をとった場合、ストーリーとして成り立たず、ただの日記になってしまう恐れがあります。
今回はそんな、ストーリーラインを作らなくてもストーリーが迷子にならない方法を解説していきます。
初めに目的を設定する
ストーリーラインを作らず、キャラクターの自由に任せる場合でも、最初に必ず「目的」を作ってください。
この話は「何をする話なのか」というのを設定してください。
例えば、新しい靴を買いに行くや逆上がりの練習をする、など、目的自体は小さくても問題ありません。
とにかく、物語を走らせる「方向性」を定めるのです。
そして、その「目的」は必ず3ページ以内に提示してください。
目的自体を決めるためにダラダラと話を書いてはいけません。
まず最初に読者に「この話は〇〇をする話です」と提示しないと、読者は安心して読めません。
そして、この方向性を示せば、キャラクター達をその方向で走らせればいいのです。
キャラクターの行きたい方向に進む
進む方向が決まり、その道に沿ってキャラクターを走らせていきます。
ですが、途中でキャラクターがその道から逸れて進もうとすることがあります。
その場合は、キャラクターを、元の道に戻そうとするのではなく、キャラクターの行きたい方向に進んでください。
例えば、最初の目的が「靴を買いに行く」ということで、町に行ったとします。
ですが、途中でタピオカ屋を見つけて、珍しいから飲んで行こうというきっかけで、タピオカのうんちくなどを書こうとしたとします。
そのとき、キャラクターが語っているうちに火がついて、「伝説のタピオカを見つけたい」と言い出したとします。
その場合は、素直に「靴を買いに行く」という目的は捨てて、「伝説のタピオカを見つけにいく」という方向に、方向転換してください。
というのも、この「ストーリーラインを作らない」方式は、「自由な発想」と「キャラクターを活かす」ことが持ち味の方式です。
なので、「ストーリーライン」に嵌めてしまってはいけません。
キャラクターを自由に動かしましょう。
その場合、一つ注意してほしいことがあります。
途中で目的が変わってしまった場合は、「最初のシーンも調整」してください。
つまり、上の例でいうと「伝説のタピオカを見つけたい」という目的を出すシーンを3ページ以内にするのです。
なので、最初の「靴を買いたい」という部分の動機や町までいく経緯などを削り、「伝説のタピオカを見つける」という目的は早く出すのです。
イメージ的には「伝説のタピオカをみつけたい」という話として、作り直すイメージでしょうか。
とにかく、キャラクターのやりたいことをやらせることに専念してください。
必ずオチを入れる
ストーリーラインなく自由にキャラクターを動かしていくのですが、最後に必ず「オチ」を入れることを忘れないでください。
単なる「楽しかった」「大変だった」で終わってしまうと、「日記」になってしまう可能性があります。
日記ではなくあくまで「物語」とするには、「オチ」が必要になります。
その「オチ」の付け方が作家の腕の見せ所です。
何気ない日常の中の話でも、しっかりとオチが付けば、読者の読後感が増し、「また読みたい」となるわけです。
ストーリーラインを作らない方式の場合、オチを付けるのが一番大変です。
ストーリーラインを作る場合は「オチ」を目指して展開を作っていく形になるので、比較的オチは作りやすいです。
ただ、このオチですが、その物語を通してのオチではなくてよいです。
例えば、タピオカの件で考えると、「タピオカが喉に引っかかって、タピオカが嫌いになる」とか「翌日体重が増えてしまった」とか「入手したのはタピオカではなくナタデココだった」とか、そんな小さなオチでよいのです。
とにかく、読者の読後感を増すようなそんなオチを用意して、物語をシメてください。
そうすれば、日記になることはなく、これは何の話?と読者を混乱させることもなくなります。
ストーリーラインに沿って、ガチガチに物語を作ることに疲れたら、たまにはストーリーラインを作らずに自由に書いてみてはいかがでしょうか。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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