起承転結の起承転までを解説してきました。
起承転までの解説は下記で書いていますので、読んでいない場合は是非、読んでみてください。
〈起で何を書くのかを解説〉
〈承で何を書くべきかを解説〉
〈転で何を書くべきかを解説〉
今回は最後の結の解説をしていきたいと思います。
最初に結論を書いてしまうと、結で重要なのは「読者が納得できる」のと「短く終わらせる」になります。
読後感は結で決まる
当然なのですが、読者が見終わったときの感情は「結」によって決まります。
「終わりよければすべてよし」という言葉があるように、「結」が良ければ、「面白かった」と思って貰える可能性が高いです。
(もちろん、そうでない場合もあります)
逆に起承転まで上手くいっていたのに、「結」が上手くいかなかったら、読者は「つまらなかった」と思われてしまう可能性が出てきます。
読者が納得できるか
では、「結」が上手くいくというのはどういう状況でしょうか。
いい最後というのは、なにもハッピーエンドばかりではありません。
逆に、ハッピーエンドでも「読者が納得できなければ」、それはいい結とは言えません。
では、例を出して考えてみましょう。
漫画『DEATH NOTE』を例で考えてみます。
DEATH NOTEの主人公である八神月は、デスノートを使い、多くの人たちを死に追いやりました。
最初は犯罪者のみしか、ノートの対象にしていませんでしたが、後半になると邪魔だと思う人間を次々と死に追いやり、さらには仲間である人間の寿命までも弄ぶようにしてます。
では、このDEATH NOTEがハッピーエンドで終わったらどうでしょうか?
月が最後まで生き残り、邪魔者を消し去り、世界を牛耳って幸せのまま終わる。
この最後だった場合、納得できない読者は多いのではないでしょうか。
では、なぜでしょうか。
それは月が正義の範疇を逸脱し、「悪」とされる行動を取っているからです。
ほとんどの読者は「悪が滅び、正義が勝つ」のを見たいと思っています。
なので、一旦、悪の道へと入ってしまった月には「なにかしらの罰」がくだって欲しいと思うわけです。
なので、ダークヒーローものはハッピーエンドは少なくなるわけです。
ただ、この「罰」ですが、必ずしも「結」でくだされなくてもよいです。
「承」の段階で、何かしらの罰がくだっていれば、読者は納得できるはずです。
また、これは主人公だけではなく、敵キャラや他の登場人物にも言えることです。
悪事を働いたキャラに、最後まで「罰」がくだらなければ、例え主人公がハッピーエンドだったとしてもモヤモヤとした気持ちが残ります。
なので、何かしらの「悪」の行動をしてしまったキャラクターには「罰」がくだされているかを注意して見直してみてください。
例え、ちょっとした役のキャラクターでも、気になる読者は少なからずいます。
ただ、「罰」の度合いに関して「納得できるか」は「読者による」ので、深く考えすぎないようにしましょう。
例えば「鋼の錬金術師」の中で「スカー」というキャラがいました。
このキャラは作中、様々な人間を死に追いやっています。
しかも、ヒロインの両親をも手にかけます。
では、そのスカーに対して、相応の罰がくだったのかというと「個人の感覚」によると思います。
スカーの扱いに納得した読者もいれば、納得しなかった読者も存在するでしょう。
ただ、「作者」として、「このような償いをさせる」というのは示しておくべきです。
何も触れずにスルーすると、読者はモヤモヤします。
また、この逆も言えます。
作中で「不幸」だったキャラには、何かしらの「救い」があってほしいと、読者は望みます。
不幸なキャラが不幸のまま終わると、それはそれで読者はモヤモヤしてしまいます。
そのキャラが「いいキャラ」であれば、あるほど、その気持ちは強くなります。
なので、「不幸だったキャラ」に対しても「救いの手」を伸ばしてあげましょう。
つまり、「結」はキャラクター達の「罪」と「不幸」に対して、それぞれ何かしらの結論が出ているかを確認しておきましょう。
中には「最後はどうなったかを読者の想像に任せる」という結の作品も数多くあります。
ある程度の決着をつけたあと、主人公はどうなったかは読者の想像に任せるといったものです。
それでも、ある程度の「罪」と「不幸」のキャラクターに関しては結論を出すべきだと思います。
結は簡潔に
結で読後感が決まると書きましたが、結をダラダラと書くと読者は冷めてしまいます。
転で盛り上がらせることができれば、その興奮が冷め止まぬうちに、スッと終わらせるべきです。
せっかく転で盛り上げても、ダラダラと結が延々と続けば、読者の気持ちも冷めてしまいます。
そして、読者の中には「ダラダラした最後だった」という記憶が残り続けるわけです。
なので、結は最低限のことを書いて終わらせるべきです。
長く書くのはまさに蛇足です。
なので、作中に出て来た問題は転までに、ある程度の目途をつけておくべきです。
つまり、結では数行で終わらせられるくらいまで進めておくのです。
いかがだったでしょうか。
読者は読み終わった直後の感覚が、そのまま作品の評価につながることが多いです。
物語を最後まで進めたことで、安堵して結をおろそかにしてしまうと、せっかく起承転まで頑張った苦労が水の泡になってしまう可能性があります。
最後までしっかりと気を抜かず、読者に「面白かった」と思わせるラストを描いていきましょう。
それでは今回はこのへんで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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