ゲーム制作におけるストーリーの解説!一本筋ストーリーについて

シナリオディレクター編

ゲームには様々なストーリー形式があります。
それぞれメリットデメリットがあり、また、ゲームの種類によってどのストーリー形式にするかを決めていかなければなりません。
今回は一本筋のストーリー形式について解説していきます。

一本筋のストーリーとは

選択肢がなく、ユーザーの意思の介入が不可のストーリー形式のことです。
言ってしまうと小説や漫画、アニメなどと同じ形になります。
選択肢がないので、何度やり直してもストーリーが変わることはありません。

この方式はソーシャルゲームでは多く、大体のソーシャルゲームではこの一本筋のストーリーになります。
逆にコンシューマー、つまり家庭用ゲーム機のゲームの場合では一本筋のストーリー形式は少ないと言えるでしょう。

なぜ、このようにゲームによって形式が違うのか。
それはゲームの性質とメリットデメリットによるものがあります。

では、次に一本筋のストーリー形式のメリットデメリットについて解説していきます。

一本筋のストーリーのメリット

まず開発側の視点から考えて、「楽」というのがあげられます。
一本筋なので「フラグ」の管理なども必要ではなく、またストーリー自体と1つ作ればいいというわけです。
この部分がソーシャルゲームで一本筋のストーリーが多い要因になります。

ソーシャルゲームは日々、新しいコンテンツを提供していかなければなりません。
それはストーリーも同様です。
ストーリーに分岐がある場合、分岐の数だけストーリーを用意しなければならなくなり、数が増えていきます。
ただ、ここで注意が必要なのが、単に「楽」というだけでソーシャルゲームで一本筋のストーリーを採用しているわけではありません。
ここに関してはデメリットの項目で詳しく解説していきたいと思います。

次にユーザーの感情をコントロールしやすいというのがあげられます。
一本筋のストーリーなので、どのユーザーも同じストーリーを追っています。
そのことで、ユーザーがそのキャラに抱いている印象や世界観、ストーリーラインに関してブレが少ないです。
(中には読まないというユーザーもいますので、完全に一致させることは困難です)

ではユーザーの視点から考えてみましょう。
ユーザーから見た際、一本筋のストーリーの場合、ゲームシステムのほうに集中できるというのがあります。

たとえば、パズルゲームやスポーツゲーム、格闘ゲームを見てみましょう。
このゲームの場合は、大体はストーリーを読みたくてゲームをやるのではなく、ゲームシステムをやりたくて、ゲームをします。

その際、ストーリーパートで選択肢が出て、その選択肢によってストーリーが変わるなどの要素が入っていたらどうでしょうか?
ゲームシステムの部分に辿り着くまでも長くなりますし、ストーリーの方が気になってしまう場合があります。

そうなると、ユーザーがやりたかったゲームシステムの部分に集中できないという本末転倒なことになってしまうのです。

これはソーシャルゲームでも言えることで、ユーザーは基本、ストーリーを見に来るのではくゲームのシステムの部分をやりに来ます。
ですので、そこに集中させるために一本筋のストーリー形式にすることが多いというわけです。

一本筋のストーリーのデメリット

ゲームとしてストーリー推しにするのが難しいです。
言ってしまうと、別に「ゲームではなくてもいい」というわけになります。

よいストーリーを見たいという場合であれば、漫画やアニメ、小説のほうがよりストーリーに没頭しやすいジャンルになっています。
逆にストーリーの続きが早く見たいのに、ゲームの部分が入っているとなると、ユーザーはゲームシステムの部分が邪魔に感じてしまうのです。

そもそもゲームでの一本筋のストーリー形式の場合は世界観やキャラクターの魅力を伝えることが役目になります。
あくまでゲームシステムの邪魔をしない、裏方に回らなければなりません。

最近ではストーリー推しのソーシャルゲームも数多く見かけるようになりました。
ですが、それは「世界観」や「キャラクター」を推しにしているということです。
凝ったストーリーもあるかと思いますが、漫画や小説のように長いストーリーパートではないはずです。

ゲームのユーザーはあくまでゲームシステムをしに来ているので延々とストーリーパートを見せられてもゲンナリしてしまいます。
また、ソーシャルゲームの場合、ゲームシステムが面白くなければユーザーはゲームを続けません。
ですので、早く、多い時間、ゲームシステムの部分をユーザーにプレイしてもらう必要があります。

なのに、延々とストーリーパートが続き、全然ゲームシステムに辿り着かないと、ユーザーのやる気を削いでしまうのです。

また、一本筋のストーリー形式の場合、ユーザーは一度やったら終わりです。
読み飛ばしたか、物凄くストーリーが気に入ったかがないと再度、ストーリーを見ることはないでしょう。
それはストーリーがメインではない為になります。
漫画や小説、アニメなどはストーリーがメインのジャンルなので、何度見直しても面白いというのがあります。
ですが、一本筋のストーリー形式のゲームの場合、それが難しいのでストーリーに重きを置けません。

上で、少し触れましたがソーシャルゲームが一本筋のストーリーを採用しているのもこの部分に関係します。
逆を言うと、ユーザーがストーリーを何度も見ないであろう形式なので、ゲームシステムに集中してもらうことができます。

ソーシャルゲームは基本、何度も周回して遊んでもらうゲームシステムになっています。
気軽に何度も、簡単にやれるのがソーシャルゲームの売りです。
ですので、ソーシャルゲームでは、1プレイに15分以上かかるようなシステムはなかなかありません。
(上級ユーザー向けの、クリアするのが困難というのが売りのコンテンツの場合は別です)

ユーザーに何度もやってもらうために、ストーリーで選択肢を用意して、ストーリーを気にならせてしまうとゲームシステムに集中してもらえません。
あくまで、ストーリーはユーザーにゲームを周回してもらうためのモチベーションアップの役割を担ってもらうものです。

ですので、ゲームによって、どのストーリー形式を選ぶ必要がありますので、ゲーム制作の場合はどの形式が合っているのか検討しましょう。

以上が一本型ストーリーについての解説になります。
いかがだったでしょうか。
少しでもあなたの参考になっていただければ幸いです。

それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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