ゲームストーリーの作り方 1番最初に考えるべき2つのポイント

シナリオディレクター編

ゲーム業界に入っていなかったとしても、ゲームシナリオを作りたいと1度は思ったことがあるのではないでしょうか。
私は幸運にも多数のゲームタイトルの立ち上げを経験させていただいたときに得たことを解説していきます。

今回はどんなゲームシナリオにするかの方向性についての記事となります。

ゲームシナリオはゲームありき

ゲームシナリオを作るといった際、小説や漫画と違いがあるのでしょうか?
はい。もちろん、あります。

一番重要なことは「ゲーム」のシナリオだということです。
何を言っているんだ、そんなのはわかっている、と思ったでしょうか?
ですが、この部分は初心者の方がはまりやすいポイントとなります。

ストーリーを最初に決めるのではない

ゲームを作る際に一番最初に決めることは、ストーリー(世界観)ではありません。
ゲームを作るのですから、最初に決めないといけないのは「どういうゲームにするか」です。

RPGなのか、アクションなのか、ノベルゲームなのか、カードゲームなのか、などなどゲームにはたくさんの種類があります。
まずはどんなゲームにするかを決めましょう。
「ゲーム」を作るのですから、「ゲーム」の部分がつまらないと失敗します。

たしかに「ゲーム」の部分はつまらないけど「ストーリー」は面白いという作品が存在します。
(名前は出しませんが……)
ストーリーを作る側としては最大の「賛辞」に思うかもしれません。

ですがこれは「ゲーム」なのです。
ゲームが面白くないのなら、失敗なのではないのでしょうか。

面白いストーリーが見たいのであれば、小説や漫画、アニメ、映画などなどを見ればいいわけです。
面白いゲームを作りたいのであればゲームシステムに力を入れなければなりません。
ストーリーはとても重要ですが、ゲームの「一部」ということを忘れてはいけません。

ゲームシステムに合わせてストーリーを考える

どんなゲームにするかが決まったら、それに合わせたストーリー形式を考えます。
たとえば、落ちもののパズルゲームだとします。
そうしたゲームの場合は淡白な短いゲームにしなくてはなりません。

代表されるのが「ぷよぷよ」です。
ユーザーは「ぷよぷよ」をしたいがために、ゲームをやっています。
なのに、長々とストーリーを見せていたのでは、イライラするだけです。

ですが、まったくストーリーがないのも、ユーザーのモチベーションを高めることができません。
ですので、ショートストーリーを付けて、主人公が何をしようとしているのかを示します。
そうすることで、「ぷよぷよ」をやる目的を、さらにユーザーに持ってもらえるわけです。

さらに、ストーリーをつけることで主人公や他のキャラクターを好きになってもらえます。
そういう点でいうと、ぷよぷよはストーリーや分量、世界観も含めて、秀逸だといえるでしょう。

逆にノベルゲームの場合は、「ストーリー」の面白さがゲームの肝となります。
重厚なストーリーラインにしなくてはなりません。

ノベルゲームは仲間を多く集めていくストーリーや戦闘を見せるようなストーリーは向いていません。
ただ、どのような画面(UI)にするかでも、違ってはきます。

「かまいたちの夜」のようにシルエットを出すような作り方であれば、多くのキャラクターを出してもユーザーが覚えきれません。
なので、「かまいたちの夜」でも「弟切草」でも場所を限定する(閉じ込められる)ことで登場人物を極力絞った形にしています。
逆に「ひぐらしのなく頃に」ではキャラクターのイラストが出るので、ある程度の人数を出すことができますが、それでも大人数を出していません。

「ファイアーエムブレム」に代表されるシミュレーションRPGの場合は、多くのキャラクターとバトルを効果的に見せることができます。
多くのキャラクターをどう立てていくか、バトルをどう盛り上げていくか、というストーリーにするという形になります。

システムの利点を考える

上でノベルゲームを例にあげましたが、ここで注意点があります。
それはシステムの利点を考えるということです。

ノベルゲームではストーリーを重厚に作っていきますが、1本筋のストーリーではいけません。
つまり、違うルートにいくとすぐにゲームオーバーになるような形ではだめだということです。

ノベルゲームの利点はユーザーが選んだ選択肢によって、ストーリーの方向が変わっていくというものがあげられます。
そのルートの豊富さが、そのノベルゲームの面白さが決まっていきます。
1本道しかないストーリーであれば、小説を読めばいいわけですから。

シミュレーションRPGで、数人のキャラクターしか出ないというのも、ゲームの魅力を下げてしまいます。
豊富なキャラクターをどう操作していくのかがだいご味になるからです。

このようにゲームシステムによって、描けるストーリーの幅が大きく変わっていきます。

逆に「いいストーリーを思いついたのでゲームにしたい」という場合もあるでしょう。
この作り方が悪いというわけではありません。

この場合は「このストーリーが一番活かせるゲームジャンルは何だろう」という視点で考えます。

一番ダメなのは「ストーリー」と「システム」が合っていないことです。

何度か、仕事でゲームの立ち上げを経験させていただきましたがその中で「システム」と「ストーリー」を別々に作っているプロジェクトがありました。
結局はシステムに合わせてストーリーの形式を合わせた形にして、何とか実装しましたが、ゲームシステムとストーリーが合っていないため、チグハグ感がありました。
当然、半年もたたずにクローズする形となりました。

何度も言うようですが「ゲーム」を作るのですから、「ゲームがより引き立つストーリー」にすることを念頭に置いて考えましょう。

ゲームというのはさまざまな人と協力して作る総合作品です。
チームや仲間たちと話し合いをしながら、いいゲームを作っていきましょう。

漫画「スラムダンク」で安西先生がいいことを言っています。
「お前の為にチームがあるんじゃねえ。チームの為にお前がいるんだ」

小説や漫画は一人で作ることが多いです。
その感覚でいると、上のようなことをつい忘れがちになってしまいますので、気を付けましょう。

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いかがだったでしょうか。
今回はゲームシナリオを考える前に注意する点を解説させていただきました。
少しでも参考になっていただければ嬉しいです。

それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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