物語を書く際、漫画でも小説でも「台詞」は大事な要素です。
そんな台詞を適当に流れのままに書いていないでしょうか。
台詞はセンスが問われると言いますが、センスがなくても良い台詞は書けます。
それは台詞に必ずある要素を入れることを意識することです。
台詞に意味を持たせる。それを意識できるかで、台詞に対しての感覚が研ぎ澄まされていきます。
適当に台詞を書くのではなく、意味を持たせることを心がけましょう。
それではどんな要素を持たせればいいかを解説していきます。
持たせるべき要素は4点です。
・キャラクターの性格を表す要素
・キャラクターの感情を表す要素
・物事を説明する要素
・ストーリーを展開させる要素
では1つずつ詳細を解説していきましょう
キャラクターの性格を表す要素
キャラクターの性格は行動でも示すことができますが、大部分は台詞で表すことが多いでしょう。
口調や内容、時には話さないこと自体も性格を表すことができます。
例えば、人から怒られた時に「ごめんなさい」というか「うるせえな」というか「……ふん」というかで、それぞれの性格を表すことができます。
ONE PIECEのルフィの台詞で下記のようなものがあります。
「南って、温かそうな方向だよな」
「ま、なんとかなるさ」
「うちの航海士、泣かすなよ!」
どうでしょうか。
この台詞でルフィはあまり頭が良くなく、楽観的で、仲間思いという雰囲気が伝わってこないでしょうか。
このように台詞一つでキャラの性格を出すことができます。
単に流れでしゃべらせるのではなく、「このキャラだからこその、この台詞」というこだわりが、キャラクターに魂を吹き込むことができるのです。
キャラクターの感情を表す
台詞はキャラクターの性格を表すだけではなく、そのキャラクターの感情も表すことができます。
喜怒哀楽、迷い、苦悩、不安、希望、絶望などなど、地の文ではなく台詞にすることでより読者に伝わることもあります。
ただ、ここで直接、感情を言葉にするのは工夫もなく、つまらない台詞になります。
「怒ったぞ!」「とっても悲しい」「楽しいね」「不安だわ」
確かに、読者に伝わると思います。
ですが、面白みはないように思わないでしょうか。
上の項で解説した「キャラクター性」を感じませんね。
北斗の拳でこういう台詞があります。
「きさまには、地獄すらなまぬるい」
どうでしょうか?
物凄く怒っている雰囲気が伝わってこないでしょうか。
タッチでも有名な台詞があります。
「ウソみたいだろ。死んでるんだぜ、それで…」
どうでしょうか。
未だに信じられない、受け入れたくない、どこか夢の中にいるような現実味がない、そんな絶望を含みつつも混乱している心情が伝わってきます。
しっかりとそのキャラクターに寄り添っていないと書けない台詞です。
台詞は勢いに乗ってスラスラと書くことでも勢いが生まれ、良い台詞が生まれることもありますが、見直しの際は、立ち止まって、そのキャラクターにしっかりと寄り添ってみることをお勧めします。
情報を読者に伝える
次に読者に情報を伝えるという要素です。
地の文で説明するとなると、それは単なる説明文となり読む気が失せてしまいます。
ですが、キャラクターに語らせることで、そのキャラクターが説明してくれるなら聞くか、という感覚で聞いてくれるかもしれません。
ただ、ここでなんの捻りもなく、情報を説明するだけだと説明文と変わりません。
また、そういう台詞は「説明台詞」と呼ばれ嫌われます。
情報を伝えるにしても、細心の注意と、どれだけ短く、噛み砕いて出すかというところに配慮しなくてはいけません。
説明台詞をどれだけ、「説明台詞らしくなく」書くかに書き手の技量が求められます。
よくある、電化製品の説明書のような説明では、億劫で読んでくれる人は少なくなります。
また、難解であれば、それだけでも読者は嫌がります。
読者に想像させるのはこの先の展開や、キャラクターの気持ち、伏線などの考察部分です。
設定や説明の部分に、読者の労力を求めてはいけません。
それで失敗してしまった作品は数多くありますが、わかりやすい例としてはサムライエイトでしょう。
長く、難解な説明台詞は、どうしても読者を置いてけぼりにしてしまいます。
情報をわかりやすく、かつ苦も無く伝えるのは本当に難しいです。
説明台詞は気を配って書く必要があるでしょう。
ストーリーを展開させる
最後にストーリーを展開させる要素についてです。
この台詞によって、物語が動くという台詞です。
割と上の情報を伝える台詞に含まれる場合も多いでしょう。
情報を得たことにより、それを聞いたキャラクターは動き始めるわけです。
もしくは探偵もので、犯人が致命的なミスを言ってしまう、なども当てはまるでしょう。
ただの台詞の掛け合いではなく、ストーリーを先へ先へと進める台詞の応酬は読んでいて心地よいです。
どうでしょうか。
あなたが書いた小説の中の台詞で、4つの要素が入っていない台詞はないでしょうか?
・キャラクターの性格を表す要素
・キャラクターの感情を表す要素
・物事を説明する要素
・ストーリーを展開させる要素
もし、この4つの要素が何一つ入っていない台詞があったのなら、見直す、もしくはカットした方がよいでしょう。
逆に、台詞を書く際はこの4つの要素を入れることを念頭において書くようにしましょう。
慣れないと最初は大変ですが、意識するうちに、自然と書けるようになってきます。
そうなれば、あなたの小説の台詞は随分と魅力的なものになっているでしょう。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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