小説や漫画など、ストーリー性のある創作物を作る際は「テーマ」が必要と言われています。
あなたは小説を書く際にテーマを決めてから書いているでしょうか?
正直、小説を書き始めるのは「良いネタ」や「良いキャラクター」が思いついたときではないでしょうか。
そして、そのとき、「テーマ」を何にしようかと悩んだりしてないでしょうか。
もし、テーマが思いつかないとき、そこで創作がストップするのは勿体ない気がしませんか?
今回はそんなテーマについて解説したいと思います。
最初に結論を書くとテーマは「ストーリー展開の道しるべにする」ためと「ストーリー性を強める」ために入れるものになります。
それでは詳細を解説していきましょう。
そもそもテーマとは?
まず初めに「テーマ」とは何かというのを解説します。
テーマとはズバリ、「あなたが読者に伝えたい」ことです。
例えば、戦争は良くない、男女の友情は成立する、親は子供に無償の愛を捧げるもの、やらない善よりやる偽善、などなど、あなたが思う「主張」のことです。
別に立派なことでなくても、一般的な常識に沿ってなくても構いません。
「あなた自身が思っていること」をテーマにすべきです。
たとえば、悪人は命を奪っていいなどでも、問題はありません。
(読者から批判はされるかもしれませんが……)
テーマというのは、自分の主張を、ストーリーを通して読者にも「ああ、確かに」と思って貰えるようにすることと考えてもらってよいです。
イメージ的にはその物語を使って、相手を説得するという感じでしょうか。
例えば上の例で考えて見ましょう。
「悪人は命を奪ってもいい」ということをテーマとします。
その場合はストーリーを使って、読者に「確かにそうだよな」と思って貰うのです。
では、そう思って貰うにはどうするべきでしょうか?
恐らく、権力、お金、力を持つ悪人が法で裁かれることもなく、様々な弱者を食い物にし、主人公の家族さえも、非道な手段で命を奪うというような展開になるでしょう。
主人公は色々な手を使って法的に裁いてもらうように頑張るかもしれません。
様々な仲間と協力して、その悪人を陥れようとするのかもしれません。
ですが、全く上手くいきません。
それどころか、悪人はそのことに怒り、主人公の周りの人間を全て奪います。
物語を通して、せっかくできた繋がりを無情にも奪っていくのです。
そして、主人公は絶望し、怒りのままにその悪人の命を奪います。
その後、主人公は出頭し、自首します。
さて、ここまでのストーリーを読んだ読者はどう思うでしょうか。
真っ直ぐだった主人公がこの悪人のために全てを奪われ、人生が捻じ曲げられたことに対し、元凶である悪人に対して手を下したことに、不快感があるでしょうか?
おそらくは「仕方ないことだった」と思えるのではないでしょうか。
このようにして、「テーマ」を読者に「伝える」のです。
ただ、ここで注意なのが「テーマ」をストレートに書いてはいけません。
いえ、書いてもいいのですが、それはスマートではありません。
ハッキリ言って、ダサいです。
せっかく、良い展開で進めていたのに、急に主人公が「悪人は死んだっていいじゃないか」と言い出すと急に説教臭くなり、読者は引いてしまいます。
テーマはあくまで「感じてもらう」ものであり、押し付けるものではありません。
また、もう一点、注意して欲しいのが、テーマは「長く」してはいけません。
一行で簡潔に言える言葉の方がいいです。
例えば、「悪人の命を奪ってもいいが、悪人にも家族がいて、悪人のことを大切に思っている人がいるから、そのことも考慮するべきだ」というテーマとしたらどうでしょう?
このテーマを読者に「感じてもらえる」ストーリーを作れそうですか?
このように、複雑かつ、テーマ内ですら矛盾が出るようなものは、書き始める前から「迷走」することが確定してしまいます。
このような場合は、「一番言いたいのは何か?」と自分に問いかけ、絞るといいでしょう。
ストーリー展開の道しるべ
前の項でテーマとは何かを解説しましたが、ここではテーマをどうやってストーリーに入れ込むかという解説をしていきたいと思います。
とは言っても、テーマが決まれば、自ずとストーリーラインが決まってきます。
王道的な使い方としては「テーマと逆のことを見せる」というものです。
前の項では「悪人の命を奪っていい」というテーマを例に挙げましたが、この場合はまずは「悪人が生きている場合」のことをまずは描きます。
「男女の友情は成立する」というテーマの場合はまずは「男女の友情が恋愛感情で壊れる」というのを見せます。
このようにまずはテーマとは逆のアンチテーゼを示した後、テーマとなるシーンを描いていきます。
なぜ、このような構成にするかというと、「読者に伝わりやすい」からです。
前半と後半のシーンで比べやすいので、テーマの方が「良い」と読者が感じやすいのです。
もちろん、アンチテーゼを示したシーンでは後味が悪い流れに死、テーマを語るシーンでは後味が良いように描かなければなりません。
これを間違えてしまうと、下手をするとテーマとは逆の結果の方を良いと思われてしまいます。
このように、テーマがあると「ストーリーライン」にしっかりと軸ができるので、構成がやりやすいです。
テーマがあることで、物語の中でも「何が言いたいのか」ということもなくなり、ストーリーがフラフラすることもありません。
テーマはなくてもいい
テーマがあるとストーリーの軸ができるのですが、逆にテーマが決まらないと書き出せないとなるとそれはそれで不都合が出てきます。
良いネタが思いつき、キャラクターも出来て、ストーリーの流れも思いついているのに、テーマだけが決まらない。
そんなときはテーマのところで突っかかって書けないというのは勿体ないです。
確かにテーマはストーリーの道しるべになり、ストーリー性を強めてくれるものです。
ですが、「良いネタ」と「良いキャラクター」があれば「面白く」できます。
これは作者であるあなたが、読者にどんな感情を持って欲しいかによります。
「伝えたいことがある」のであれば、テーマを入れるべきですし、「面白い」と思って貰えればいいというのであればテーマはなくてもよいわけです。
長期連載の作品を見て見てください。
テーマがないことも多いかと思います。
面白いストーリーを読んで貰いたいというのであれば、テーマにこだわる必要はないのです。
テーマが決まらずにいつまでも書き始めれないのであれば、今回は特にテーマはなし、と考えて書き始めた方が良いでしょう。
あとは、「書いている途中にテーマが浮かんでくる」こともあります。
その場合はそこからテーマに沿ってストーリーを調整していけばいいのです。
テーマがなくても、キャラ同士の掛け合いが面白ければそれでいいのです。
漫才やコントに「テーマ」はあるでしょうか?
フリとオチがあれば、十分に面白いわけです。
小説も同じです。
テーマが思いつかなかったとしても、面白い物は作れます。
あまりテーマに縛られ過ぎず、テーマがあれば、ストーリーラインを作るのが楽、くらいの感覚で使っていきましょう。
いかがだったでしょうか。
よく、「この小説のテーマがわからない」なんて言って批評する人がいますが、気にしなくていいのです。
あなたが気にすべきは「ペルソナに面白い」と思って貰えるかだけです。
そこに集中して、小説の執筆を進めていってください。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント