急に外注窓口の担当になり、外注管理をすることになった。
ゲーム業界では割とよくある話です。
外注管理は一体、どうしたらいいのか?
どんなところに気を付けなければならないのか?
今回はプランナー側の視点での、ライターへの注意点に関して解説していきます。
外注管理のスケジュールを立てる
まず始めにやらなくてはいけないのが、スケジュールを立てることです。
ではどういう風にスケジュールを立てるかを見ていきましょう。
1.リリース日を調べる
最初は起点となるリリース日を調べます。
このリリース日から逆算していくことになります。
いつ、何が、どのくらいの数がリリースされるかを把握します。
なので、そのあたりの情報収集が必須です。
中には、そもそものリリーススケジュールが決まらないプロジェクトもあります。
そんなときは「急に言われても対応できない」と言って、とにかくスケジュールを決めてもらいましょう。
起点となるここがあやふやだと、後であなたが地獄を見ることになるので、何としてでもここは確定してもらいましょう。
外注管理の戦いは、ここから始まっています。
2.何が必要かを調べる
キャラクターがリリースされるとした際、何が必要なのかを洗い出す必要があります。
例えば、キャラクターが1体リリースされる際は、下記の内容が必要だったりします。
・キャラクターボイス
・キャラクターイラスト
・キャラクタークエスト
・キャラクターのスキル名と効果
・キャラクターの武具名と効果
・キャラクターの紹介文フレーバー
キャラクターに対して、何が必要かはそれぞれのプロジェクトで違うので、必ず確認しておきましょう。
ギリギリになって抜けていたと発覚すると、間に合わなくなる可能性が出てきてしまいます。
3.それぞれのデッドラインを調べる
全てがリリース日までに揃っていれば問題ないというわけではありません。
上の例でいえば、スキル名とキャラクタークエストでは必要日が違ってきます。
スキル名はスキルテーブルに書き込んで終わりという場合が多いですが、キャラクタークエストはスクリプトを組まなくてはいけません。
さらにデバックを考えると、キャラクタークエストは遅くともリリースの1週間前にはなくてはなりません。
おそらくライターへの外注管理に関するもので一番早くもらわなければならないのが台本です。
ボイス収録は声優のスケジュールを抑え、収録し、ボイスデータを切り出し、納品してもらい、データを組み込まなければなりません。
ですので遅くとも1ヵ月前くらい前には用意しておくとよいでしょう。
このように必要なものの中で、デッド日がどれが早いかを調べて一覧にするといいでしょう。
そこから、ライターが書くのに必要な日数を逆算し、どのタイミングでどれを発注するかを決めていきましょう。
とにかくスケジュールを作ることが一番の重要点です。
ここをうまくスケジュールが組めると後々は楽になっていきます。
ライターの納品スピードを把握する
スケジュールの次に大事なのが、ライターの納品ペースをつかむことです。
遅いのか早いのか、早い場合、クォリティを保てるのかなどを掴んでおくとよいでしょう。
ソーシャルゲームの場合、リリース日の変更や差し込みは当たり前のようにあります。
そんなときに、そのライターがどのくらい対応できるかも知っておくとよいでしょう。
ライターの納品ペースがつかめれば、スケジュール表から逆算して、いつ発注すればいいのかが見えてきます。
後はライターの方のスケジュールを聞いた上で発注していきましょう。
ここで注意点があります。
当然ですが、ライターにも生活があります。
副業にしろ、専業にしろ、ライターはあなたのプロジェクトだけの仕事をしているわけではありません。
他の仕事が立て込んでいるかもしれないという想定は、必ず頭に入れておきましょう。
いつでもすぐに対応してもらえると考えてはいけません。
いつも無茶な差し込み作業を依頼していると、いつかライター側から断られることにもなりかねません。
発注する側(クライアント側)だからと言って、金を払っているのだからと言って高慢な態度を取るのは止めましょう。
ライターの特徴を知る
ライターにも色々な人がいます。
書くのが早いがクォリティが低い人、逆に書くのが遅いがクォリティが高い人、書くのも遅いしクォリティも低い人、書くのが早いうえにクォリティが高い人などなど、多くの種類のライターがいます。
このことは早めに把握しておく必要があります。
極端に人の手が足りないという状況でない場合は、書くのが遅くてクォリティが低い人は切っていくのがよいでしょう。
手直しする工数と待ちの日数で首を絞められる場合があります。
書くのが遅いがクォリティの高い人の場合は、必要になるのが数か月先のものを頼むとよいでしょう。
書くのが早いがクォリティが低い人の場合は、急な差し込みがあった場合に頼むとよいでしょう。
このように、状況に応じてライターを使い分けられるとかなり楽になります。
クォリティが低いからと言って、即切るというのではあまりにも能がありません。
要は使いどころと考えておきましょう。
注意点として
ライターの中にはクォリティが高い低いの段階の前に誠意があるかないかが存在します。
手が遅い、クォリティが低いという、本人が頑張ってる上でそういう場合はよいです。
慣れることで伸びる可能性があるからです。
ですが「誠意がない」場合はいくらたっても状況は変わりません。
この誠意がないというのは、やり取りしていく中でわかってきます。
まず、納品日を守らないというのが挙げられます。
発注する際に何日までにお願いします、という形で依頼します。
もちろん、ライター側もその日数を見た上で依頼を受けているはずです。
ですが、納品日になっても全く送ってこないライターがいます。
まだ1日遅れなどは可愛いものです。
こちらが納品されていない連絡をしたタイミングで、「あと5日遅れる」と言ってくるのです。
普通の場合、遅れるのであれば前もって「何日になる」という連絡を送ってくるはずです。
それがこちら側から連絡しないと、「言ってこないからまだ大丈夫だ」と思っているのか、あちらからは何も言ってこないということがあります。
おそらく、こちらから連絡するまで忘れていたのでしょう。
そこから慌てて書いたのだろうと容易で想像がつきます。
もちろん、急いで書いたのでクォリティも低いです。
そういうライターはこまめに「納品、大丈夫でしょうか」とメールをするのがいいでしょう。
私が経験した中で最悪なライターは、こまめに連絡を入れていて、その都度「大丈夫です。納品日に間に合います」と言っておきながら、いざ、納品日に連絡すると「あと1週間かかります」と言われたときです。
これには唖然としました。
本来、こういうライターはすぐに切った方がいいです。
害にしかなりません。
新しい人を探す方が、よっぽど有意義な時間を使えます。
こういう人は、もうこういう性格なので直ることはありません。
安心して切った方がいいでしょう。
もし、切れないような大作家様であれば、すぐに上司に相談しましょう。
ソーシャルゲームの場合は、正直に言ってスピード勝負のところがあります。
納期を担保できないライターを抱えるデメリットと、そのライターが書いた制作物を天秤にかけて考えるべきです。
そこはちゃんと相談した上で、方針を決めましょう。
ここを放っておくと、納品物の遅れが全部あなたの責任になります。
会社では誰も守ってくれません。
自分の身は自分で守るようにしましょう。
もし、万が一、こんなライターを抱えてしまい、切れないという状態になった際は下記のような対策を提案してみるといいでしょう。
・プロットだけをそのライターに作ってもらい、違うライターにシナリオ化してもらう
・プロットを違うライターに作ってもらい、シナリオをそのライターに書いてもらう
・プロットもシナリオも他のライターに書いてもらい、それを監修してもらう
このような形で、他のライターを介入させることで状況が変わったりします。
なんとか、試行錯誤をして危機を乗り越えましょう。
後半は少し愚痴のような形になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。