漫画や小説、ドラマや映画などなど、ストーリーを作るには主人公が必要になってきます。
主人公はその作品の顔と言っても過言ではないほど重要なキャラクターになります。
なので、一番、力を入れて作っていくことになります。
ですが、インパクトを与えることに集中してしまい、「読者への好感度」を考えることを忘れてしまっていないでしょうか。
今回は、そんな主人公に対しての読者への好感度を上げる方法を解説したいと思います。
好感度をあげるには「悪人」を懲らしめる
主人公というと、多くの人は「良い人」として設定するのではないでしょうか。
困っている人がいれば放っておけない、悪い人間がいれば懲らしめる、弱きものを助ける、また、これらのことに対して、命をかけて行動する、などどの「良い点」を入れると思います。
では、なぜ、このようにするのでしょうか。
それは「読者の共感や好感度を上げる」ためです。
ほとんどの読者は「正しい人間、弱い人間」を応援したいと考えます。
逆に悪人を応援したいと思う人は少ないでしょう。
それは現在、SNSでも見て取れるように「不正した人や悪口を言った人、法に触れるような人」がいると「炎上」します。
これは、大半の人々が「悪人に裁きがくだってほしい」と思っていることになります。
ストーリーというのは、この部分の「人の感情」を利用しているわけです。
つまり、ストーリー内で「悪人」を出し、それを懲らしめるという流れにすることで、「読者の感情をスッキリ」させるのです。
「悪人」を出せば、その悪人と対立する「キャラ」がいれば、それだけで「読者は応援」するわけです。
応援するということは「そのキャラ」の好感度は上がるというわけです。
主人公が「嫌なキャラ」の場合
主人公と聞くと、ルフィやナルト、炭治郎、デクなど、明るくて真っすぐで前向きなキャラクターが思い浮かぶと思います。
このようなキャラクターであれば、「悪人」との対比にもなりますし、このようなキャラクターの方が読者が応援したくなりやすいです。
ただ、逆に、「少し嫌な」主人公のキャラもいます。
例えば、ろくでなしブルースの前田は「不良」ですし、鉄鍋のジャンのジャンや、なんと孫六の孫六は結構、「嫌なキャラ」なキャラです。
また、主人公ではなくても、幽遊白書の飛影や僕のヒーローアカデミアの爆轟などの尖ったキャラクターでも、主人公よりも人気だったりします。
では、このように「嫌なキャラ」「乱暴なキャラ」などの主人公の場合、どのようにすればいいでしょうか。
簡単なのは、「もっと悪いキャラ」を出すという方法です。
例えば、鉄鍋のジャンのジャンはかなり嫌なキャラクターですが、審査員の大谷の方が、もっと嫌なキャラになっています。
このように、一番なキャラクターがいれば、それを倒す形であれば、「倒す方」を応援します。
なので、多少、悪いキャラでも読者は応援してくれます。
ですが、ここで注意点があります。
それは「主人公は悪いこと」をしてはいけないということです。
例えば、鉄鍋のジャンの場合、いくら大谷が「悪人」だったとしても、裏で暴力によって屈服させたり、金を渡して取り込んだりなどしてしまうと、読者の好感は得られないでしょう。
あくまで、合法的な方法で「懲らしめる」ことで、初めて読者の好感を得られます。
飛影や爆轟もどうように、いくら敵を倒すためとはいえ、「人間を犠牲」にしたり、「人質を見捨てたり」すると、途端に読者は離れていくことになります。
つまり、「正攻法で悪人を倒す」という根本的な部分を崩さなければ、例え嫌なキャラクターだったとしても、読者の好感を得ることができます。
なので、主人公だからといって、清廉潔白で明るく、正直なキャラクターにする必要はありません。
逆にこれを崩してしまうと、「主人公」だったとしても、読者の好感を得られず、不人気になってしまいます。
これの例としては、「学級法廷」が挙げられるでしょう。
大神は一番最初に担任の「秋元」を追い詰め、論破しています。
ですが、秋元はこの時点では「悪い人」ではありません。
なのに、そんな秋元を追い詰めた姿を見て、大神に対して好感を持った読者はほぼいなかったでしょう。
ダークヒーロー場合
中には上記の範囲に収まらない主人公がいます。
ダークヒーローという枠です。
ダークヒーローは「犯罪をする」ことが多いです。
というより犯罪をするからこそ「ダークヒーロー」になるわけです。
この場合は、主人公は「悪人」になってしまいます。
では、ダークヒーローは読者の好感を得られないかというとそうではありません。
例えば、必殺仕事人や石川五右衛門、あとは少しマイナーですがマインドアサシン、怨み屋本舗、善悪の屑などが挙げられます。
この場合、どうやって読者の好感を得るかを考えてみましょう。
まず、「もっと悪人を出す」というところは共通です。
絶対にここを崩してはいけません。
次に、「正攻法では裁けない」という設定です。
例えば、罪を犯したのに、金の力でもみ消されてしまった、証拠不十分で事件にならない、絶大な権力を持っていて、そもそも裁かれない等々です。
ここで注意点としては「正攻法で裁けるのに、外法で裁く」のはいけません。
それは主人公は「安易な方法を取っている」ことになるからです。
絶対に「裁きたいのに、裁くことができない」相手に対してではなくてはなりません。
最後にもう一点、重要な要素があります。
それは「心情に訴える」です。
つまり「被害を受けた人に対して、読者が同情する」状態にしなくてはなりません。
例えば、金持ちのせいで、一家離散に追い込まれたや、家族を失うことになった、自分の人生がめちゃくちゃになったというような状態です。
その被害者に対して読者が「可哀そう、そいつに罰を与えたい」と思ってもらい、その加害者に対して主人公が懲らしめることで、初めてその主人公は読者の好感を得ることができます。
なので、その被害者も「良い人」でなくては、読者の同情を得られません。
悪人が悪人によって、不幸になっても、誰も「可哀そう」と思って貰えません。
なので、被害者は極端に良い人にするくらいの気持ちで設定するといいでしょう。
ただ、極端に良い人にしなくても、「読者の同情を得られる」状況を作り出せれば問題ありません。
ですが、最初はなかなかそのあたりの線引きが難しいので、極端に良い人にするといいでしょう。
スポーツ漫画の場合
では、そもそもスポーツ漫画のような、「悪人」を出す事ができない場合はどうするべきでしょうか。
その場合は「嫌なキャラクター」にするという方法があります。
傲慢で、人を見下すようなキャラクターです。
例えば、弱虫ペダルの御堂筋、アイシールド21の阿含、等々です。
かなり秀逸なのがはじめの一歩の「ブライアンホーク」が、実に素晴らしい敵でした。
このブライアンホークの「嫌なキャラ」具合がかなり「秀逸」に描かれているため、「ブライアンホークVS鷹村守」の試合は「ベストバウト」に挙げる読者も多いです。
鷹村も結構、傍若無人なキャラクターですが、それ以上にブライアンホークは本当に嫌なキャラクターでした。
そんなブライアンホークを倒した鷹村は、一気に人気が上がりました。
まとめ
以上、キャラクターの好感を得る方法を解説してみました。
尖ったキャラクターを作った場合は、それ以上に「嫌な」キャラクターを作る必要があります。
どのようなエピソードを使って、キャラクターの好感度を上げるのか。
キャラクターを作るだけではなく、「好感度」「共感」まで考えて設定すると、読者の人気を得られるキャラクターを作ることができるでしょう。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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