キャラクターの作り方 ヒーロー性と共感性について

シナリオライター編
以前、キャラクターの動かし方などを解説しましたが、今回はキャラクターの設定について解説していきます。 今回は主に主人公や主要キャラの設定についてになります。 最初に結論を書いておくと、キャラクター作成で大事なのは「ヒーロー性」と「共感性」になります。 それでは詳細を解説していきましょう。

ヒーロー性と弱点

有名人というのは一般の人と比べて、良くも悪くもどこか突出した部分があるものです。 そして、一般の人たちは、その突出したところを見たいがために注目が集まります。 どこにでもいるような一般的な人に関しては、逆に無関心になっていきます。 これはSNSでも顕著でしょう。 有名人がSNSを始めれば勝手にフォロワーが集まり、一般人がSNSを始めても見向きもされません。 これはキャラクターにおいても同じことがいえます。 なにも突出するものがなく、平凡なキャラクターは「キャラが弱い」と言われ、モブのような扱いをされ、人気投票をしてもランキングに顔を出すこともありません。 では、どういったことを突出させるべきでしょうか。 パッと思いつくのは「容姿」でしょうか? 多くの芸能人は容姿によって人気が出たりします。 ですが、一旦考えて見てください。 同じ容姿を売りとしているアイドルでも、容姿だけでは人気が出ません。 各アイドル達には「個性」が求められ、その個性の差別化があって、初めて人気が出ます。 なので、キャラクターも「容姿」だけではいけません。 大体、小説ではいくら「可愛い」「絶世の美女」「美男子」「格好いい」と言葉を並べたところで、読者には想像しづらいです。 だからといって、目の形が~とか鼻がスッと通っていて~とか、詳しく書けばいいというわけではありません。 結局は表紙に描かれるイラストレーターさんによって変わってしまうのですから。 漫画に関しても同様です。 「絵柄」というものがありますので、いくらキャラデザインに力を入れたとしても、見る人によっての「好み」もありますから、やっぱり「容姿」だけではいけません。 これは「強さ」という点でも同じです。 漫画では味方となる強キャラは、下手をすると主人公よりも人気が出ることもあったります。 ONE PIECEのゾロや呪術廻戦の五条悟、NURUTOのカカシも人気でしたね。 ですが、強いだけであそこまで人気が出たのでしょうか。 それは違います。 強キャラでありながらも、仲間思いで、いざとなったら頼りになる存在、という部分が魅力となり人気になっていったのでしょう。 このように、容姿や強さなど外的要素は含みつつも、やはり内面である「性格」が人気の秘訣となっているのでしょう。 強いキャラというのは「強い」ので「自信に満ち溢れている」という点があげられます。 この「自信に満ち溢れている」という部分は、なかなか普通の人では持ち合わせないかと思います。 自信満々で頼りになる存在に、ほとんどの人は「憧れ」ます。 そして、憧れるからこそ、もっとそのキャラを見たくなります。 そうです。 この「憧れ」という部分が、ヒーロー性になります。 そのヒーロー性がキャラの魅力をグッと引き上げてくれるのです。 かといって、自信満々というだけがヒーロー性かというと、そうではありません。 「憧れ」の対象になればいいわけです。 例えば、普段は逃げ腰で情けないけれど、いざというときは恐怖に立ち向かうという存在も憧れになります。 人はなかなか恐怖に立ち向かえません。 そこを踏ん張って立ち向かうことは十分、憧れの対象になります。 少し古い漫画ですが、ゴーストスイーパー美神の横島が、そのタイプになります。 横島は普段は臆病ですぐ逃げるタイプですが、ここぞというときは、「勝てない相手」だったとしても立ち向かっていきます。 ここにヒーロー性があるわけです。 ですが、ここで注意してほしいのが、「ヒーロー性」だけではダメだということです。 単なる完全無欠で、何も欠点の無いキャラは逆に嫌味になります。 なので、必ずヒーロー性をつけたら、弱点も設定してください。 この弱点というのが共感を生みます。

弱点という共感

よくキャラクター作成の方法の中で、「共感」できる部分を作れと言われます。 キャラクターと読者がより近くに感じる部分が、親しみを呼ぶということです。 読者と同じような行動を取ることで、身近に感じるのとより「生活感」が出てきて、あたかも本当にいるのではないかといった部分になります。 例えば、買い物はコンビニでするとか、スーパーに格安の時間に行くとか、家ではよくゲームをするとかなどなど、一般の人がするような行動です。 ここの一般の人というのは「ペルソナ」に合わせた行動を考えましょう。 このような、ある部分が突出したキャラクターでも、普通のことをするということで読者の共感を得ることができます。 ですが、もう一歩、踏み込んで共感を得る方法があります。 それは一般の人よりも「劣る」部分を作ることです。 これはどういうことかというと、自分にはない部分の強さであるヒーロー性に憧れます。 その一方で、自分の方が勝っているという点があれば、「そのキャラクターに勝てる」という「優越感」を得ることができます。 もう少し噛み砕くと、「こんな凄いキャラクターだけど、俺はこの部分では勝てるんだ」という憧れと優越感の相反する感情を与えることで、そのキャラとの共感性は跳ね上がるわけです。 例えば、上の例でいう横島は「アホ」です。 本能で動くために、アホな行動をして失敗します。 読者は、自分はこんなアホな行動はしないよ、と思いながら横島のことを見て笑うという優越感に浸ります。 カカシで言えばよく遅刻するという点でしょうか。 ゾロは方向音痴です。ゾロは本当にびっくりするくらいの普通ではありえない方向音痴になっています。 このように、ヒーロー性と弱点を併せ持つキャラクターが共感をよび、読者の人気を得ることができます。 よく、なろう系の主人公が「読者に嫌われる」というのが挙げられますが、これは「弱点」を作っていないからでしょう。 強くて、良い奴で、女の子にモテて、みんなができないことを平気でやり、みんなが驚いているのに気付かない。 こんなキャラクターではヒーロー性があったとしても、共感は得られません。 現実の世界でも、手のかかる子供の方が可愛いという言葉もあります。 主人公に読者が感情移入するように、弱点を作らない方が優越感が得られると考えるかもしれませんが、逆に共感が得られにくいキャラクターになります。 ここは思い切って、あり得ないくらいダメな部分を作ってあげましょう。 読者はそんなダメな部分も好きになり、見守ってくれるはずです。 キャラクターを作った際、ちゃんとヒーロー性と弱点があるかを確認してみてください。 それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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