小説家になろうにより、異世界転生ものが流行し、一大ブームとなりました。
最近でも異世界転生が残りつつも、「俺強ぇ」系である、いわゆる「スキル」ものが流行りになっています。
この転生ものでもスキルものでも、共通しているのは「ファンタジー」ということです。
つまり、色々な人が「ファンタジー」を描いているということです。
ここで陥りやすいのが「みんな書いてるから、読者にも伝わるだろう」と考えて、「雰囲気」で書いてしまうことです。
確かに読者は「ファンタジーを読み慣れて」います。
なので「雑に書いても」伝わります。
「ああ、いつものあの感じね」というところですね。
ですが、考えてみてください。
みんなが「いつもの」を書いているということは、あなたが「いつもと違うもの」を書けば「目立つ」ということです。
みんなよりも「一歩前に」出ることができます。
どうでしょうか。
みんな書いているファンタージの世界観をあなたのオリジナリティ溢れるものにしてみませんか?
前置きが長くなりましたが今回はファンタジーの世界観について解説していきましょう。
必ず土台を用意する
まず、やって欲しいのが、あなたがこれから描こうと思っている世界に「似た」世界観のものを見つけてください。
これは創作作品でもよいですが、できれば「現実の世界」にしてください。
例えば、中世ファンタジーの世界観であれば中世ヨーロッパ―を、産業革命のスチームパンクを描きたいのであれば19世紀の当時を色々と調べてください。
そして、それを「土台」にするのです。
どうでしょう?
面倒くさいと思ったでしょうか?
そうです。面倒くさいのです。
だから、みんなやらないのです。
面倒だからみんなやらないのを、あなたが頑張って調べることで秀でることができるのです。
ここがしっかりできてるだけで、本当にクォリティは変わってきます。
しっかり調べてください。
調べる項目としては、まずは統治体制を中心に調べてください。
例えば、王政であれば、側近はどのように配置されているのか、また、兵士たちはどのように構成されているのか。
あとは税の徴収方法なども調べておくと、よりリアリティが出るでしょう。
また、貴族がどのような階級があり、それぞれどのような特権を持っているのか、どうすれば階級が上がるのか等々を中心に調べるといいでしょう。
そして、平民の生活も調べましょう。
主にどんな職業があり、どんな生活をして、主にどんなものを食べて、何が娯楽だったのか。
大筋としてはこの辺を抑えておくといいでしょう。
ただ、一つの作品を作るのに、こんなに調べるのは大変だと思うでしょうが、ここは我慢して調べてください。
ここで調べたことはこの先の作品でも使えます。
また、様々な世界のことを調べていくと、大体、どのような流れで権力者たちは人々を統制しているのかというのが見えてきます。
そうすれば、そこから派生させて、さらにオリジナリティあふれる世界観設定を作ることができるようになるでしょう。
世界観にオリジナル要素を入れて想像してみる
次に、土台とした世界観に、あなたが考えた「ネタ」となるオリジナル要素を組み込んでいきます。
例えば、「魔法」がある世界だとします。
もちろん、現実の中世ヨーロッパには存在していません。
そこに魔法を入れるとどうなるかを想像します。
まず、「武器」が変わってくるはずですね。
遠距離攻撃の弓は魔法と入れ替わる感じになるでしょう。
さらに魔法という便利な「エネルギー源」は国で独占するでしょう。
平民の誰しもが使えたら国家転覆の危険です。
ただ、魔法を身近にしたいのであれば、国は謀反を起こされても大丈夫なように、強力な魔導士を宮廷に置くことになるでしょう。
それこそ、鋼の錬金術師の「国家錬金術師」のように、優秀な魔導士を囲っておくのが普通でしょう。
そうなってくると、平民は優秀な魔導士になると国に高額で仕えることになるので、出世の為に「優秀な魔導士」を目指すというのが当たり前になっていくでしょう。
このように、一つの入れ込んだ場所から派生して色々と考えていくのです。
そうすれば、自然な世界観設定が出来上がっていきます。
ただ、ここでの注意点があります。
「完璧にし過ぎないこと」です。
どういうことかというと、現実世界に「あり得ない要素」を入れるので、必ず「ひずみ」が出ます。
例えば、魔法が発達した世界線が中世ヨーロッパのような世界になるのかというと疑問です。
魔法を中心とした農業、工業などの産業はもちろん、生活水準はどう考えても中世ヨーロッパよりも高くなるはずです。
ですが、そんなところにリアルさを求めて、そもそもあなたが「描きたかった世界ではなくなる」のでは本末転倒です。
以前の記事でも書きましたが、鋼の錬金術師の世界観でも、錬金術とオートメイルの技術が完璧に世界観に合わさっているわけではありません。
〈設定の説得力の持たせ方〉でも書きましたが、ある程度は馴染ませた後では、深掘りをしないことで「ひずみ」に読者の目を行かせないようにするといいでしょう。
また、完璧にしようとし過ぎて、世界観を作る作業に「時間をかけ過ぎて」満足してしまう、もしくは本編を書く体力がなくなると、これはこれで本末転倒ですね。
なので、主人公を中心とした目に見える範囲で「オリジナリティのネタ」を馴染ませればよいです。
そして、あなたが調べた史実の箇所を押し出して描写すれば、読者は「この作者は色々考えてるな」と感心するでしょう。
いかがだったでしょうか。
世界観というのは正直、雑に作ってもストーリー自体は作ることができます。
ただ、雑に作ると様々な「矛盾」や「違和感」が出て、読者はそれに萎えてしまいます。
世界観設定は直接ストーリーに関わることが少ない上に調べるのが面倒ということで、手を抜きがちですが、ここをこだわってしっかり作ることで、他の作品と差別化を図ることができます。
今まであまり世界観に関して作り込んだことがないのであれば、一度、作り込んでみてはいかがでしょうか。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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