あなたは小説を書くときに、事前にプロットを書いているでしょうか?
また、プロットを書く際に、単に「あらすじ」のようなものというイメージで書いていないでしょうか。
その書き方でも『デビュー前』であれば、特に問題ありません。
ですが、『デビューした後』に、プロットの正しい書き方を知らなければ、必ず苦労します。
今回はプロットの書き方について解説していきます。
最初に結論を書くと、プロットを「人に読んで貰うもの」と意識して書くということです。
では、詳細を解説していきましょう。
プロットはプレゼン資料
割と勘違いしてしまうのが、「プロットは物語のあらすじを書くもの」と思ってしまうことです。
小説を書く前に、流れを書いて、道筋を大まかにでも掴んでおくものくらいに考えてしまいがちです。
確かに、プロットを書くことで物語の流れを掴んで整理することができます。
ですが、それでは「足りない」のです。
なぜなら、『デビューした後』に、担当者に必ず『プロットを出してください』と言われます。
そこで、今まで書いてきたような感じでプロットを作り、担当に見せたとします。
しかし、それではなかなか「これでいきましょう」とは言われず、「何作もプロットを書く」羽目になります。
作家は「出版して初めてお金を得る」ことができます。
例え、何100本のプロットを書いたとしても、「お金は貰えない」のです。
なので、「プロットを書く本数はできるだけ少なく」して、早く「本編を書く」方がよいでしょう。
※今回は「お話を練る」という観点は、説明の都合上、考慮から外しています。
それでは、早く本編を書くためにはどうすればいいかというと、書いたプロットが通ればいいのです。
一旦、会社員を例に考えてみます。
AさんとBさんが会社での商品開発のコンペをしたとします。
AさんもBさんも、中身は同じような商品なのですが、Bさんの方が採用され、その商品開発の担当者を任されるということが往々にしてあります。
なぜ、こんなことが起こるかというと、Bさんの方の「プレゼンが上手い」からです。
営業で考えるともっとわかりやすいでしょう。
「同じ商品を売っている」のに、営業成績は個人に寄って全然違います。
なぜかというと「売り方がそれぞれ違う」からです。
これはプロットも同じです。
全く同じストーリー展開でも、プロットの書き方一つで面白さやクォリティは全然違います。
全く同じネタで同じストーリー展開でも、書き方によって「担当が面白く感じるか」どうかは違ってきます。
つまり、プロットというのは「担当者」へのプレゼン資料と考えてもらってよいでしょう。
ということは、プロットは「自分の頭の中を整理するもの」ではなく「相手に面白いと思って貰うための資料」ということになります。
この「他人に見てもらうもの」と意識するのとしないのとでは、プロットのクォリティは全然違ってきます。
例えばなのですが、「プロットを見て欲しい」と言われて、読んでみるのですが、「ストーリーの流れがガタガタになっている」というものも少なくありません。
なぜ、そうなってしまうかというと、「作者の頭の中では補足されている」ので、スムーズに読めるからです。
もちろん、私からすると「作者の頭の中までは読めない」ので、「ここはどういうことですか?」と聞くと、色々と説明してくれます。
ここまで記事を読んでくれたあなたらならわかると思います。
その色々の説明をちゃんとプロットに書くべきなのです。
ただ、こう書くと、「それならプロットの枚数がかなり多くなってしまう」と思う方もいるでしょう。
ですが、ここも注意が必要です。
長いプロットは、それだけで相手は読む気が失せてしまいます。
プロットの理想はペラ1枚くらいがよいでしょう。
上では「ちゃんと説明しろと言っているのに、短くしろというのは矛盾している」と思ったでしょうか?
相手に伝わるように説明しつつも短く書く必要があるということは、「書くことを絞らなければならない」ということです。
つまり、書くべきところは、「物語の核」となる部分だけです。
「この作品のどこが、どのように面白いのか」という部分にのみフォーカスするわけです。
さらにこのようにプロットを書く「利点」は、「自分の中でも、どこが推し」なのかが整理できるということです。
ここを意識できれば、本編を書いている内にテーマがズレていくということもなくなります。
例えば、「戦いというものは愚かで何も生まない」というものがテーマだったのに、「戦闘シーンを書いているうち」に楽しくなり、戦闘描写を格好良く描いてしまうと、読者は「この作品は一体なにがいいたいのだろう?」と混乱してしまいます。
プロットは「誰が」「どこで」「なにをすることが」「面白いのか」を書くものです。
そして、プロットはその物語が「面白いのか」「面白くないのか」を見るためのものです。
「面白い」となった場合に、初めて「箱書き」で詳細を書いていくといいでしょう。
ただ、「その物語が面白いのか」を判断するものを「素案」と呼ぶ場合があります。
その場合は「素案」が「その物語が面白い」かどうかのプレゼン資料になり、「キャラクターの心情を中心にストーリーの流れを書く」ものをプロットと呼ぶことがあります。
一番最初に担当に「ネタを複数案」を求められます。
担当によっては「素案」と呼ぶか「プロット」と呼ぶかが分かれますが、最初はペラ1枚の「その物語が面白い」かどうかの資料のことと考えてよいでしょう。
そして、その中で「これでいこう」となった場合に、もう少し詳細を書いてと言われれば「キャラクターの心情を中心にストーリーの流れを書いた」ものを出すとよいでしょう。
複数案を出す際に、作り込み過ぎるとお蔵入りになったときにダメージが大きくなるのと、時間を有効に使うためにも「この物語は何が面白いのか」というのを、端的に書けるようにしておくとよいでしょう。
いかがだったでしょうか。
プロットは自分の為に書くものではありますが、「他人に見せるためにも」書くことが多いです。
デビューしてから慌てるのではなく、今から「他人に見せるためのもの」と意識して作ることを心掛けてみてください。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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