今まで一度も嘘を付いたことがないなんて人はいません。
もちろん、あなたも嘘を付いたことがない、なんてことはないでしょう。
もし、いるとしたら、それはまだ話すことのできない赤ちゃんくらいではないでしょうか。
つまり、人間という生き物は嘘を付くのが当然なのです。
小さい大きいの差はあるものの、やはり何かしら嘘はついているものなのです。
ですが、いざ、小説を書いていると途端にキャラクターは嘘を言わなくなります。
正直に本当のことを話すキャラクターばかりの作品を書く方が多いです。
なので、「人間は嘘を付く」ということを意識するだけで、作品自体を一段階アップさせることができます。
ただ、何でもかんでも嘘を付いてしまうと、ストーリーでは何を信じていいのかわからなくなり、読者が混乱してしまうのいうのもあります。
今回は「人が嘘を付く」という部分の使い方を解説していこうと思います。
最初に結論を書くと人が嘘を付くときは「自分に不利益がある」ときです。
それでは詳細を解説していきましょう。
主要キャラ以外は「本当のことを言わない」程度
まず、「嘘を付く」のは主要キャラだけにしておきましょう。
モブキャラにも嘘を付かせてしまうと、ストーリーの進みが遅くなりますし、読者が何を信じていいのかわからなくなります。
なので、主要キャラ以外は「本当のことを言わない」程度にしておきましょう。
そして、本当のことを言わないのは「不利益なこと」と「得にならないこと」が中心になります。
例えば、主人公が旅をしていたとします。
町につくと、なにやら不穏な事件が起こっていると小耳にはさみます。
そこで、主人公が聞き込みをしようとします。
ここまでは普通によくある流れです。
ここで、主人公はその辺にいる人に話しかけて、何があったかを聞きます。
するとその人は「見も知らない人にペラペラと自分の町のこと」を話します。
どうでしょうか?
あなたが逆の立場だとして、急に知らない人に話しかけられたら色々と話しますか?
話す人もいると思いますが、ほとんどの人なら警戒して話したりしないと思います。
ですので、ここで一つ捻りをくわえてみます。
聞く相手を話好きなおばちゃんにしてみるとどうでしょうか?
すんなり話すのもなんとなくわかりそうな気がします。
もしくは、情報収集する場所を道端ではなく、酒場などにします。
そこで、バーテンダーにお金を渡せば色々と情報を話してくれるという流れもいいでしょう。
さらには、主人公が「事件の調査をするために来た、政府の人間だ」と嘘をつけば、住人たちは協力してくれるでしょう。
どうでしょうか?
単に「話を聞く」というだけでも一捻りするだけで、グッと作品が引き締まります。
そういう細かい点でも気を配れるかで、作品のレベルは違ってきます。
嘘を付かせたら必ず回収する
次は主要キャラが嘘をつく場合について解説します。
人が嘘を付くときは「何かしらの理由」があります。
その理由は「不利益がある」ことと「得にならないこと」が挙げられます。
もしくは、意味もなく嘘を付く人もいるでしょう。
ですが、そんなキャラクターを物語に出すと、読者が混乱するだけなので、出さない方がいいでしょう。
無意味な嘘は、読者は納得できないですし、「作品自体」の信用が失われてしまいます。
なので、キャラクターが嘘を付く場合は、もちろん、何かしらの理由を付けるべきです。
そして、その理由を「必ず書く」べきです。
作者は理由があってキャラクターに嘘を付かせて、もし、その理由が回収されなければ、読者から見ると「意味もなく嘘を付いた」となり、上で書いたように読者の作品に対しての信用が失われます。
もしくは、「辻褄が合わない」ということになり、これも読者からしたら「設定が甘い作品」とみなされます。
人が嘘を付くということは何かしらの「矛盾」が生じます。
その矛盾を解消するためにも、嘘を付かせたら「必ず理由」を明かしましょう。
話さざるを得ない状況に追い込む
嘘を付かせたら理由も必ず明かすと書きましたが、明かし方にも工夫が必要です。
嘘を言うからには「それなりの理由」があるからです。
それなのに、後からペラペラとしゃべるようでは、逆に「なぜ、あのときに嘘を付いたのか?」となってしまうでしょう。
この理由の出し方も間違えると、読者は一気に冷めてしまいます。
よくある例を出してみましょう。
探偵もので、事件やトリックなどが素晴らしかったのに、ラストで探偵が犯人を指摘しただけで犯人自ら「ペラペラとトリックの詳細や動機など」も話してしまう作品があります。
本当にこれは白けてしまいます。
トリックを使ったということは、犯人はバレなくないと思ったはずです。
それなのに単に「自分が怪しまれた」だけで、証拠もなくべらべらと話すのは読者的には納得できません。
探偵ものの作品はトリックと同じくらい「証拠をどう集めるか」が重要になります。
突飛で斬新なトリックが思いついたからと言って、作品を書き始めてしまうと、かえってそのトリックの「ネタが勿体ない」です。
ちゃんと着地点も考えてから書きましょう。
話を戻しますが、「言い逃れできない証拠をそろえられ、言い逃れが出来ない状況」になって初めて、犯人は観念して語り出します。
これは何も探偵ものの作品だけではありません。
どんな作品であろうとも、キャラクターは嘘を付くことがあるでしょう。
(もちろん、嘘を付くキャラクターが出てこない作品もあります)
嘘を付いた場合は、その嘘を白状する際には「話さざるを得ない状況」にしないといけません。
例えば、「嘘だと完全にバレたとき」や「これ以上嘘をつく意味がなくなるとき」などですね。
また、嘘を白状する状況というのは「嘘の度合い」が影響してきますので、そこも注意が必要です。
つまり、その嘘で「どのくらい人に迷惑がかかるか」で、白状する状況が変わってきます。
ちょっとイラっとする程度であれば、「ごめん」と謝って簡単に白状するでしょうが、もし、「人の人生に関わる」くらいの嘘であれば、バレたときにその分、自分に対しての評価が落ちてしまうので、ひたすらに隠そうとするでしょう。
嘘の度合いから、「どのくらいの状況であれば白状してくれるか」という部分も、そのキャラクターになり切って、考えるようにしましょう。
面倒だから、ペラペラと話をさせるのはやめておいた方がいいです。
それならまだ、嘘を付かせない方がいいです。
いかがだったでしょうか。
人は「嘘を付くことができる」というのは、実世界では当たり前ですが、小説を書くことになると途端に正直者しか書けなくなる方も多いです。
ですが、その分、上手くキャラクターに嘘を付かせることができれば、その作品は一段階レベルアップすること間違いなしです。
無暗に嘘を付かせるのはいけませんが、重要なシーンでキャラクターに嘘を言わせてみてはいかがでしょうか。
それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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