以前、小説を書き始めるときになにをするかを解説した際に、短編を書いた方がいいと書きました。
その記事で「長編を書く前に短編で慣れる必要」があると書いています。
今回はその短編(ショートショート)をどう書くのかと書く理由について解説したいと思います。
あなたは、すでに「長編を書けているからこの記事を読む必要はない」と思ったでしょうか?
確かに、現在、スランプや作品を完成させられないなどの悩みが全くないのであれば、読む必要はないかもしれません。
ただ、何事にも「基本は大事」です。
それは小説においても同じです。
では、あなたは「小説を書く際の基本」とは何かと聞かれたら、パッと答えられるでしょうか?
そう言われると、なんだろう?と思ったのではないでしょうか。
小説における基本というのは「ショートショート」です。
本来、しっかりショートショートが書けるようになってから、長編に挑むべきです。
もちろん、小説の学校や講座でも、必ず最初は「ショートショート」から練習します。
ですが、小説というのは「誰でも書き始められる」ということで、学校や講座に通わずに書き始め、そのままデビューする方も数多くいます。
ただ、デビューしても「基本」ができていないと、すぐに行き詰ってしまいます。
前にも書きましたが、せっかくデビューしても、デビュー作の後の2作目、3作目が書けないという作家が結構いるようです。
そんなことにならないためにも、「基本であるショートショート」をしっかり書けるようにしておき、デビューしてからも「残る作家」を目指していきましょう。
それではまずはショートショートの書き方を解説していきます。
起承転結を意識する
ショートショートは大体、5枚から10枚で作成するショートストーリーです。
小説を書き始めてすぐという場合は、まずは何も考えずにまずは完結させることを目指してください。
それに慣れた後は、起承転結を意識して書くようにしましょう。
物語には必ず「起」である出来事を作り、それに対して「転」というひっくり返りがあり、「結」というオチを付けましょう。
ここが意識できていないと、「単なる状況の説明」や「一体、この物語で何が言いたいの?」というものになります。
あなたは、「ショートショートなんて短い枚数だと表現できない」と思ったでしょうか?
それは逆です。
ショートショートで表現できないものが長編で表現できるわけがありません。
長編は「シーンの積み重ね」です。
その「シーン」を構成するショートショートが書けないようでは、その長編はダラダラとしたメリハリがないものになってしまうでしょう。
ただ、いきなり「起承転結」にするのが難しいといった場合は、「変化」か「オチ」だけは必ず入れるようにしましょう。
この2つが無いと、十中八九、そのストーリーは「物語」ではなく「日記」になってしまうでしょう。
そして、この「日記」を書く癖が付いてしまうと、長編でも同じように「主人公の日記」状態になってしまい、山も谷もない、平たんなストーリーしか書けなくなってしまいます。
ただ、「ネタ」と「キャラクター」の出来が素晴らしい場合は、それでデビュー出来てしまいます。
ですが、「ネタ」と「キャラクター」だけでは、「続かない」です。
3巻ほどで終わることになるでしょう。
なぜなら、「次を読みたい」と読者が思わないからです。
読者が読みたいのは「主人公たちがどうなるか」という部分です。
その部分を「ストーリー」で作っていくのです。
そのストーリーを構成しているのが「起承転結」です。
※構成方法には起承転結だけではなく三幕構成などもあります。
それをショートショートでしっかりと書けるようになっていれば、長編でもそれは必ず活きてきます。
ショートショートであれば、気軽に読んで貰えますし、何度も練習できます。
ショートショートで「面白い」と言って貰えれば、長編でも「面白い」と言って貰えるはずです。
逆にショートショートで「面白くない」と言われてしまえば、長編でも返って来る返答は「面白くない」でしょう。
ショートショートは構成の練習にもピッタリ
ショートショートは「構成」の練習にもなります。
なぜなら、「短い」ので「全体を俯瞰して見やすい」からです。
長編ですと、そもそも、読み返すこと自体が大変です。
さらに直すとなれば、面倒くさくなってやる気が失せてしまいます。
それに長編は長く携わっているため、「思い入れ」が出来てしまいます。
それはつまり「第三者視点」ではなかなか見れなくなってしまうのです。
その点、ショートショートはサッと書くので、そこまで「思い入れ」もなく、「見直す」ことができます。
変だと思ったら、すぐに修正ができます。
長くても10枚程度なので、直す気力も出るでしょう。
この「直す」という作業も、デビューしてからは「必須」になります。
中にはデビューすれば、書いたものが一発で本になり、店頭に並ぶと思っている方がいます。
大物作家であれば、そういうこともあるでしょうが、デビューしたての新人なら、まずあり得ません。
担当と話し合いをし、色々と修正していくことになるでしょう。
そのためにも、「自分の作品を直す」という行為に慣れていた方がいいです。
自分の中の思い入れが強くて「直したくない」という作家もいると聞いたことがありますが、担当者からすると「面倒くさい作家」になるので、後々、切られる可能性が高いです。
逆に、デビューしたての新人なのに、担当が特に何も言わずに書いた初稿がそのまま本になるということでしたら、おそらく、その担当にはほとんど「期待されていない」ということでしょう。
何も言ってこないということは、「ここに時間を裂きたくない」ということになります。
その場合は本当に自分自身の力でなんとかしていかなくてはなりません。
少し話が逸れたので戻します。
ショートショートに書き慣れた後、そのまま長編の作成に入ってもいいですが、もう一段階、構成の練習方があります。
それは10枚のショートショートを7枚に納めてみる、という方法です。
これは本当に構成の練習になります。
ショートショートを「長くする」のは簡単ですが「短くする」のは、実は難しいです。
短くしても、ちゃんと話として通るようにする際に必要なスキルが「構成」です。
台詞一つみても、「この台詞はなくてもいい」とわかりますし、「このシーンとこのシーンを合わせよう」という発想も見えてきます。
短い文章の中で、どれだけの情報を読者に与えることができるのか、という能力はかなり武器になります。
そして、文章力も付きます。
なので、小説の基礎は「ショートショート」と書いたわけです。
ショートショートは「新人賞」などには送れないので、「書くだけ無駄」と思い、ここを飛ばして長編を書いている方も多いです。
ですが、逆にショートショートをしっかりと書けるようになっておけば、あなたはその人たちと大きく技術的な差を付けられるでしょう。
確かにショートショートを書いている間は「応募作」ではないので、進んでいる気はしないでしょう。
ですが、この「基礎力」は「デビューしてから活きて」きます。
もう一度、改めて考えてみてください。
あなたの目標は「デビューすること」ですか?
それとも「作家として活躍し続ける」ことですか?
医者や大工、教師、イラストレーターなどなどの技術職は長年の勉強の上で初めてなれる職業です。
ですが、作家という職業は、他の職業と違って「すぐになれる職業」だったりします。
小説を書き始めて、1ヶ月で書き終わり、応募したら1発で受賞してデビューなんてこともあり得ます。
そんな作家が毎年、数多くデビューしていきます。
ですが、それと同じ数の作家が消えていくということも忘れてはいけません。
そんな作家人生を生き残るためにも、「基礎」という「自力」をつけることも重要なのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?
ショートショートなんて気晴らしに書くものくらいに思っていなかったでしょうか?
スランプに陥ったときにこそ、基礎というものは大切になってきます。
今一度、ショートショートで勉強してみてはいかがでしょうか。
それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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