最近は「小説になろう」や「カクヨム」などで小説投稿サイトの活発化により、デビューする前から長編を書くということも珍しくなくなりました。
逆に長編を書いている中で人気が出て、書籍化という流れも多くなってきています。
そこで長編を書いている中で「実はこのキャラはこういう設定だった」という「設定の追加」が出てくるという場面があるかと思います。
最初の設定を作る際に全て作り込んでいれば、特に問題はないのですが、前回に書かせていただいた方法で「最低限しかキャラ設定をしていない」場合、設定していない部分で新たに追加していくことになります。
前回のキャラクターの作り方については下の記事を参考にしてください。
〈キャラクターの簡単な作り方について〉
ただ、いきなり、追加した場合や以前書いた設定と違っていた場合、「ご都合主義」になり、読者は一気に引いてしまいます。
この設定を追加するのにはコツがありますので、今回はそのコツについて解説していきましょう。
先に結論を言ってしまうと「必要じゃないことは語らない」です。
では、詳細を解決していきましょう。
語らなくていいことは語らない
例えば前回の記事の方法でキャラクターを作ったとして、そのキャラクターの設定内に「妹に関しては性格に影響していないから設定していない」状態だったとします。
物語を進めているうちに、「妹についての話題」が出たとします。
その際に、設定していないのでとりあえず「いない」と台詞で言ってしまったとします。
そうすると「妹はいないという設定」になってしまいます。
ですが、進めている内に「妹を出した方が面白そう」と思っても、「妹はいない設定」なので出せません。
こうならないためには、そもそも設定していない設定に関しては「話題に出さない」もしくは「濁す」という方法にするといいでしょう。
例えばONE PIECEのルフィですが、兄がいることなんて最初の方は全然語られてませんでした。
また、エースが登場するまでは伏線も貼られていませんでした。
これはおそらく、途中で追加したのでしょう。
多少は違和感を覚えますがルフィは「兄弟はいない」と言っていないの、出しても問題ありません。
このように、後々、影響しそうな部分に関しては「語らない」のがいいでしょう。
そのときに設定を決めてもよいのですが、後々の展開によって動かせたほうが楽ですし、盛り上げることができるでしょう。
ここで注意があります。
読者は意外と「設定を大事」にしています。
下手をすると作者よりも「詳しかった」りします。
その際に、矛盾が出てしまうと読者は一気に引いてしまいます。
そこでそうならないように、「キャラの設定表」は常にアップデートしておいてください。
上でも書いたように、会話の中で「妹がいない」というセリフを書いてしまった場合は、そのキャラの設定書に「妹はいない」と書き込んでおきましょう。
作者だから忘れないから大丈夫、なんて思っていてはいけません。
それでなくても作者は多くのキャラクターを扱います。
その全ては絶対に把握しきれません。
その際に「どうだったっけな?」と思ったときには全部、作品を読み直さなければなりません。
それは時間がかなり取られてしまいます。
そんなとき、ちゃんとキャラ設定表を更新していれば、それを見直せばいいわけです。
ただ、これは「長編を書いてる」場合のみでいいでしょう。
1話完結の、例えば新人賞用の作品であれば、そこまでする必要はないと思います。
また、この設定書は「世界観」にも当てはまります。
世界の理について、設定が追加された描写があれば、ここも必ず、世界観設定表のアップデートをしましょう。
また、世界観設定に関しては忘れると言うより、辻褄が合わなくなる可能性が高くなりますので、注意が必要です。
例えば、HUNTER×HUNTERの世界ですが、後から急に「暗黒大陸」という形で世界の枠を大きく広げました。
ですが、これは作者も最初から想定していたわけではないと思います。
なぜなら、作中に「飛行船」を出してしまったからです。
飛ぶ乗り物がある場合、惑星が丸いのであれば、飛行ルートは「近いルート」を通ることになります。
例えば、日本とロシアが世界地図の端にあるとして考えてみましょう。
現代では日本からロシアに行く場合、ヨーロッパを経由していく遠回りルートなんて使いません。
地球の丸みを考えて、直接ロシアの方へ飛んでいきます。
それはHUNTER×HUNTERの世界でも、そうするでしょう。
あれだけ科学が発達した世界であれば、惑星は丸いというのは常識になっているはずです。
その場合、絶対に「この世界よりもさらに大きな世界がある」と気付くはずです。
最初から暗黒大陸のことを考えていたのなら、移動手段は陸路と海路のみにしておけば、そこまで違和感はでなかったでしょう。
陸路と海路だけでは移動に時間がかかってしまうなら、超高速の新幹線が張り巡らせてあるとか、そもそも暗黒大陸は地下、とかにするという手もあったかもしれません。
ただ、HUNTER×HUNTERの世界で、この世界(惑星)は「丸いとは明言していない」のでセーフではあります。
少し、話が脱線してしまいましたが、出さなくていい設定は出さない、もしくは濁すことで「伏線」にしておくという手を使っておくといいでしょう。
もう一点、「キャラクターは嘘を付く」という手法がありますが、これは使い過ぎると、今度は作品自体の説得力がなくなってしまうので、多用するのは危険でしょう。
このキャラクターは嘘を付くという手法に関してはまたの機会で解説したいと思います。
いかがだったでしょうか?
キャラクターの設定というのは物語が進む中で、ドンドンと追加されていくものです。
追加されても良いように設定の空白を作っておくことで、後々、困らないようにしておきましょう。
それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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