はじめに
今回は起承転結の使い方について解説します。
起承転結という言葉は誰しも、一度は聞いたことがある言葉なのではないでしょうか。
ただ、具体的にはわからないという方のために、どう使っていくかを解説していきます。
私もシナリオを勉強するまでは、よくわからなかったので。
起承転結とは
ストーリーの流れの基盤となるものです。
いわば、ストーリーのフォーマットというものでしょうか。
話の展開を4つのブロックに分けて、構成するために使います。
舞台用語ではこれを「序破急」と呼んでいます。
序破急は3つのブロックに分けるという考え方ですが、
起承転結と基本的には同じことを言っています。
あくまで4つにするか、3つにするかの違い程度の認識でよいです。
※厳密にいうと、違うのですが今はまだ意識する必要はないです。
以前、下の記事でも書きましたが起承転結に沿っていないストーリーは日記や作文になってしまいます。
ストーリーとは?プロが教えるストーリーの考え方
必ずストーリーには動きと、関連した流れがなくてはいけません。
その動きと流れから逸れないようにするために、起承転結の考え方が役に立ちます。
また、面白いと思えるストーリーにするためにも起承転結は抑えておいた方がよいです。
起承転結の流れ
起承転結は簡単に言うと以下のようになります。
起 事件の始まり(物語のきっかけ)
承 その事件がどう流れていくのか
転 いわゆる大どんでん返し
結 事件がどう終結するか
つまり、起承転結は「1つの事件」に対してを追っていくという考え方になります。
例:母親に、りんごを買うように頼まれる(起)
途中で(りんごを買う為の)お金を落とす(承)
探している途中で、困っているおじさんがいる(承)
助けてあげるが、お金は見つからない(承)
実はおじさんはスーパーのオーナーで、りんごをタダでもらえる(転)
無事、お使いを完了し、母親に褒められる(結)
一見、お金を落としてからの、おじさんを助けるくだりは
「りんごを買う」という目的から外れています。
ですが、転で、「おじさんからタダでりんごをもらえる」という部分で
「りんごを買う」という目的に繋がります。
もし、おじさんはまったく関係なく、お礼を言われて終わってしまったなら
起承転結の流れからは外れてしまいます。
起で設定した「目的」から外れた場合は
その出来事はストーリーと関係がありませんので、カットする必要があります。
こういう流れを見るために、起承転結の流れに沿って作っていくのが基本になります。
ただし、世の中には起承転結になっていなくても面白い作品はあります。
日常系などのキャラの反応を見せるパターンの場合は
起承転結に当てはめなくても面白いものは作れます。
ですが、それはストーリーで見せているわけではなく
あくまでキャラクターを見せているわけですから、
強いキャラクター、魅力があるキャラクターを作り出せないと必ず失敗します。
それでも、必ず「起承結」はあるはずなので、意識して見てみると勉強になります。
転が肝
転によって、ストーリーの面白さの大半が決まると言っても過言ではありません。
※あくまで「ストーリー」という観点で見た話になります。
キャラクターの魅力や世界観という観点には当てはまりません。
承の中の出来事をひっくり返す
起での出来事をひっくり返してしまうと、
そもそもスタートからひっくり返るので今までの出来事は意味がなくなります。
中にはそういう作品もありますが、一発ネタのような感じになるので
短編やSSで使ったほうがいいでしょう。
長編でそれをやられてしまうと、さすがに視聴者もうんざりしてしまう可能性が高いです。
転は真逆にするイメージにするのがいいでしょう。
上の例(りんごを買いにいく)でいうと、「お金を落した」から「タダでもらえる」というひっくり返し方になります。
つまり、「お金を見つける」のではなく、「お金自体が必要じゃなくなる」という持っていき方になります。
その方が視聴者も予想し辛いですし、
そもそも「お金を落した」から「お金を見つける」だと「転」になっていません。
この転のひっくり返し方が上手ければ、上手いほど視聴者は衝撃を覚え、「面白い」と思うようになります。
ただし、奇を狙い過ぎても、視聴者を置いてけぼりにしてしまいます。
上の例でいうと、「お金を落してしまった」ので、「リンゴの木が成ってるところからリンゴを取ってくる」にしたとします。
確かに「リンゴを手に入れる」という大筋のストーリーから逸れていないので、一見すると有りのような気もします。
ですが、今まで「おじさんを助ける」ストーリーだったのに、リンゴを取るというストーリーに変化してしまっています。
つまり、承での「おじさんを助ける」と転の「リンゴを取る」が繋がっていないことになります。
なので、視聴者は「おじいさんを助けたのはなんだったのか?」となり、
置いてけぼりになってしまいます。
どうしても、転に「リンゴを取る」を入れたいのであれば
「おじさんがリンゴの木が成っている家を教えてくれる」という形にするべきですが、
それは転になっていません。
あくまで、承というくくりになります。
結について
結はあっさりと短く終わらせるというのがセオリーです。
あまり、長々と結の部分をやってしまうと、余韻がなくなってしまいます。
その後のキャラクターを描かなくても、そこは視聴者に任せてしまってよい部分になります。
長編の漫画で、キャラがたくさん出てくるような作品だと、
よくキャラのその後をダイジェストのように描くことがあります。
最近でいうと東京グールなどがそうでしたね。
ただ、そういうのは連載ありきの長編だからこそです。
2時間の映画であったとしても、その後は長々とせず、スパッと終わらせた方がいいでしょう。
まとめ
起承転結は必ずしも使わなければならないというわけではありません。
ですが、ストーリーの軸がブレないようにするためにも、
起承転結を意識して作るとよいです。
いうのは簡単ですが、意外と使いこなすのは難しかったりします。
色々な作品を見て、作品を作ることで身に付けていきましょう。
それでは、今回はこれで失礼します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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